【主張】参院選と子育て 優先すべきは現金給付か

 子育て支援で各党が骨太の政策を示せるかは、日本の社会保障制度を占う試金石である。安心して子供を育てられなければ、日本の少子化は今後も食い止められまい。

 だが参院選にみる各党支援策は、選挙向けの聞こえの良い、ばらまきに偏っていないか。

 与党の自民と公明は、消費税の10%への引き上げで得られる税収の使途を組み替えて、今年10月から幼児教育・保育の無償化を行う。3~5歳の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料を無償化する。

 0~2歳児については、住民税非課税世帯が対象だ。だが、3~5歳児については所得制限もついていない。子供を保育園に通わせている高所得の親の恩恵が大きい。大盤振る舞いである。

 国の指導監督基準を満たさない認可外保育施設も対象だ。肝心の保育の質向上が置き去りにならないか、危ぶまれる。

 野党から正面切った批判は見られない。むしろ、現金給付を競い合っている。

 立憲民主は国公立大の授業料半額、国民民主は児童手当の拡充、共産や社民は子供医療費の無料化、維新は幼児から大学まで教育無償化などを挙げている。

 高齢者に偏っていた社会保障の給付を、子育て世代にシフトする方向性は間違っていない。しかし、本当に求められているのは質と量を満たす着実なサービス整備である。限られた予算でどう配分するかも問われよう。

 希望しても保育園に入れない待機児童は、平成30年10月時点で4万7198人に上る。前年同月比では減少したが、それでも5万人に迫る。一貫して課題が解消されない。しかも、無償化で利用が促され、待機児童が増える可能性も指摘されている。

 そのなかで、主要7党すべてが待機児童の解消を公約に掲げている。自民は令和2年度末までに32万人分の受け皿を整備するという。保育の質を落とさずに実現できるのか。

 今に始まった課題ではない。他の各党も、どんな実現の道筋を描いているのか。どう取り組んで解消するのか。具体策こそ示してもらいたい。

 政治の役割は選挙で実現性の薄いスローガンを唱えることではない。政策を着実に進めるため、地に足の着いた議論を求めたい。

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