【主張】WTOで日韓応酬 情報戦への備えを万全に

 韓国に対する輸出管理の厳格化をめぐる世界貿易機関(WTO)一般理事会の討議は、日韓双方の主張が全くかみ合わないまま終わった。

 韓国が「自由貿易に逆行する」などと訴えたのに対して、日本は安全保障上の必要な措置だと反論した。日韓以外の第三国からの発言はなく、外国メディアは、韓国が支持の取り付けに失敗したと報じている。

 当然だろう。兵器転用が懸念される物資が韓国から横流しされないよう、手続きを厳格化するのは日本が国際社会に果たすべき責務だ。これをもって自由貿易に反するという理屈には無理がある。

 文在寅政権は、この現実を直視する必要がある。韓国がなすべきは、自らの輸出管理体制の不備を改めると同時に、日本の対韓不信を拭う行動を示すことだ。その意思も見せないのが残念である。

 ここは日本も気を引き締めなければなるまい。韓国はWTOへの提訴を検討している。日本に理があるから大丈夫だと油断していると、足をすくわれかねない。

 韓国は今後、各国の支持を得るよう執拗(しつよう)に情報戦を仕掛けてくるだろう。特に米国による仲裁に大きな期待を寄せている。今のところ米国が積極的に動く様子はみられないが、警戒は怠れない。韓国の動きを封じるよう米国での発信にも力を尽くすべきである。

 韓国側は、WTOが禁じる輸出数量制限などの疑いがあると主張している。だが、実際には、簡素化していた輸出手続きの優遇策を取りやめ、通常の手順を踏むよう求めただけである。WTOに提訴されても、日本が勝訴するという見方はもちろん多い。

 そうであっても丁寧な説明が不可欠だ。例えば、韓国の問題点として、通常兵器に転用可能な物資の管理体制の不備がある。対韓輸出に不適切な事案があったことも明らかにした。これらのどこが問題かを明確にしなければ、付け入る隙を与えよう。韓国の主張を詳細に分析し、それを覆す論拠を周到に構築すべきだ。

 4月、日本の水産物に対する韓国の禁輸についてWTOで事実上敗れた件を思い起こしたい。日本は紛争処理小委員会(パネル)で勝訴したのに、上級委員会で覆されて逆転敗訴した。パネルの勝利に安心し、上級委でも勝てると高をくくっていたのではないか。忘れてはならない教訓である。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ