【主張】セブンペイ廃止へ 「手軽な決済」への警鐘だ

 セブン&アイ・ホールディングスが、不正利用の被害があったスマートフォン向け決済サービス「セブンペイ」を9月末で廃止すると決めた。

 問題があった安全対策を抜本的に強化するには時間がかかるため、サービスの継続は困難と判断したためだ。

 小売り最大手が鳴り物入りでサービスを開始してから、わずか1カ月で撤退を迫られる異例の事態である。

 安全対策の不備が深刻な被害を生み、同社に対する利用者の信頼を大きく失墜させた。

 しかしこれは、決してセブンだけの問題にとどまらない。10月の消費税増税を控え、利用者の囲い込みを急ぐ各社のキャッシュレス決済に対する、重い警鐘と受け止める必要がある。

 利便性の向上と同時に万全の安全対策を講じることが、産業界に課せられた責務であることを忘れてはならない。

 7月1日にサービスを始めたセブンペイをめぐっては、不正アクセスによる「なりすまし被害」が相次ぎ、3日後の4日にはサービスを事実上停止した。被害総額は先月末時点で約800人、約3860万円にのぼるという。

 セブンペイは、パスワードで本人確認する「2段階認証」などの安全対策を講じていなかったことが判明している。

 すでに先行していたグループ内のシステムに合わせ、使い勝手や効率性を優先したためだ。そうしたシステムの欠陥が今回の不正利用につながったといえる。

 セブングループはこのサービスをデジタル戦略の中核と位置づけていた。それだけにイメージの深刻な悪化は避けられない。同社は新たなキャッシュレス決済の開発に意欲をみせているが、厳しい反省に立って抜本的な安全対策に取り組む必要がある。

 政府が推進するキャッシュレス決済にも冷や水を浴びせた。

 政府は10月以降、中小店舗でキャッシュレス決済すれば、一定のポイント還元を行う消費税増税対策を準備している。だが、今回の事件はスマホ決済に対する信頼を損なうものだ。各社ともキャッシュレス決済サービスの安全対策を改めて点検してほしい。

 このポイント還元は税金を投入するだけに不正利用は絶対に許されない。政府もサービスを監視する体制を構築すべきだ。

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