【主張】原爆の日 脅威見据え平和を守ろう

 令和となって初の原爆の日を迎えた。戦争があった昭和の時代が遠くなっても、犠牲者を追悼し続けたい。

 原爆によりおびただしい人々が犠牲になった。9日には長崎も原爆の日を迎える。体験を語り継ぎ、平和への願いを胸に刻みたい。

 平和を守るには、現実の脅威を見据えた対応が欠かせない。この日はそのことを再確認する日でもあるべきではないか。

 広島市の松井一実市長が平和宣言を発表する。前もって発表された骨子によると、政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求める文言が盛り込まれる。

 核兵器を違法化する同条約は2年前、核保有国が参加しないまま国連で採択された。現実性のある条約とはいえない。

 核兵器による反撃が抑止力となって、核兵器の使用を踏みとどまらせているのが現実だ。好むと好まざるとにかかわらず、日本を守っているのも米国による核の傘である。日本が条約に署名することは核の傘を否定することであり、自国の平和を危うくする。

 核兵器廃絶の思いは尊い。しかし、その思いを唱えるだけでは平和は守れない。

 敗戦と唯一の戦争被爆国という体験の反動として、戦後の日本では空想的平和論が声高に語られることになったが、平和に何が必要かを見誤ってはならない。

 原爆の惨禍を体験した国だからこそ、二度と国民をそのような目に遭わせないという強い決意のもとで、抑止力を高める具体的方策を講じなければなるまい。

 北朝鮮は日本全域を射程に収める弾道ミサイルと、核兵器を手放そうとしていない。日本の大きな脅威である。日本は自らの防衛問題として真剣にこの脅威と向き合わなければならない。

 米国とロシアの中距離核戦力(INF)全廃条約は失効した。米国はアジア太平洋地域に地上発射型の中距離ミサイルを配備したい意向を示している。日本が置かれる安全保障環境は刻々と変わっている。理想論ではなく現実に即した議論をなす必要がある。

 折しもトランプ大統領は日米同盟の不公平さを訴えている。日本は自主的に自国を守る能力を強化し、積極的に世界の平和にも貢献すべきである。原爆の犠牲者への鎮魂の念とともに、その思いを新たにしたい。

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