【主張】障害者の議員活動 正面から建設的な議論を

 参院選で、れいわ新選組から重い障害のある2人が当選した。

 議席を得た舩後(ふなご)靖彦氏は難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者である。木村英子氏は生後8カ月で障害を負った。2人とも手足を自由に動かすことが困難で、車いすで生活している。

 国会の玄関にはスロープが設けられ、本会議場の出入り口近くには車いす用の2議席がつくられた。介助者が本会議場に入り、本人に代わって意思表示することも認められた。選出された議員が活躍できるよう環境を整えることは当然である。

 一方で両氏は、公的障害福祉サービスの「重度訪問介護」を利用している。介助者が生活全般をサポートするもので、全国で約1万1千人が使っているが、「経済活動」に当たる就労中の利用は認められていない。

 議員活動も経済活動と見なされるため公費負担の対象外となる。両氏は就労中も公的サービスが利用できるよう求め、当面は参院が費用を負担することになった。

 これに日本維新の会の松井一郎代表が「原資は税金。国会議員だけ特別扱いするのか」と異議を唱え、自己負担にすべきだと強調した。松井氏は「国会議員であろうと一般人であろうと、公平、平等に支援が受けられる制度にすべきだ」とも訴えた。

 正論だろう。法や制度に不備があるなら、これを改めるのが国会議員の仕事である。何ら議論を経ずに参院が当面の費用負担を決めた特例措置は、社会の変革に寄与しない。

 重度の障害者が経済活動に従事する時間を一律に公的サービスから外す現行の制度は問題がある。障害があっても地域で暮らし、働ける人にはその環境を整えることこそ時代の要請だろう。

 情報通信技術の進歩で在宅勤務の可能性も広がっている。ただし財源には限りがあり、一定以上の所得がある人にはサービスを支えてもらう必要がある。議論を必要とする項目は少なくない。

 根本匠厚生労働相は、全国民に共通する普遍的な施策をどう作るかという観点から省内のプロジェクトチームで議論していくと表明した。サービスの利用範囲をどうするか。高齢介護サービスとのバランスをどう取るか。特例措置に逃げず、正面から建設的で迅速な議論を期待したい。

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