【主張】露の「主要国復帰」 強権統治の撤回が先決だ

 トランプ米大統領が先進7カ国首脳会議(G7サミット)に再びロシアを加え、主要8カ国(G8)にすべきだと語った。G7で議題にする問題の多くがロシアに関わるからだという。

 だが、G7の存在意義は、自由と民主主義の価値観を共有し、世界を牽引(けんいん)する点にある。今のロシアに加わる資格は全くない。

 モスクワでは7月中旬以降、市議会選の候補者排除に抗議する大規模デモが週末に行われている。2千人を優に超える参加者が治安当局に拘束された。プーチン大統領の強権統治に国内で反発が強まり、当局がそれを鎮圧している現実に目を向けるべきだ。

 9月8日に予定されるモスクワ市議選で、反政権派の10人以上が候補者登録を拒否された。市選管は、候補者らの提出書類に不備があったと主張している。デモはこれに抗議して行われ、多い時で5万人以上が参加した。

 2000年に大統領に就任したプーチン氏は、経済成長を約束して強権統治を正当化する開発独裁型の政権運営を続けてきた。中央集権の進んだロシアで、定数45の小規模なモスクワ市議会が重要な役割を果たしてきたとはいえない。それでも抗議行動が起きたのは、人々が疑似民主主義に辟易(へきえき)し、政治参加と地方自治を希求し始めたからである。

 ロシアは14年にウクライナ南部クリミア半島を併合し、G8を放逐された。そのクリミア問題に解決の兆しは全く見えない。同時に、クリミア併合後のロシアでは体制の硬直化に米欧の対露制裁が重なり、経済の低迷が深刻だ。地方の問題をめぐりモスクワ以外でも抗議行動が頻発している。

 民意を政治に反映させねば、閉塞(へいそく)感が強まり、プーチン氏の求心力はいっそう低下する。G7の役割はプーチン氏にこの現実を認識させ、行動を改めさせることだ。仲間に加えることではない。

 最近のプーチン氏は「自由主義は時代遅れだ」と発言し、強権体制の優位すら主張した。だが、折しも香港では「逃亡犯条例」改正をめぐる大規模デモが続く。香港とモスクワで規模は異なるが、中露両国が自らの体制への反発に直面している点は同根である。

 今週末に仏南西部ビアリッツで予定されるG7サミットで、安倍晋三首相は中露の強権統治の問題を提起すべきである。

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