【主張】台風15号 通勤対応を見直すべきだ

 強い台風15号は9日午前5時前、千葉市付近に上陸した。8日夜から9日にかけて静岡県から関東、東北地方は記録的な暴風雨に襲われ、停電、住宅地の冠水、構造物の倒壊や倒木などが相次ぎ、死傷者も出た。

 首都圏の鉄道は大混乱に陥った。JR東日本と私鉄各社は9日始発からの運行を見合わせ、天候が回復し安全が確認された路線から順次、運転を再開した。だが、通勤・通学時間帯と運転再開の「見込み時間」が重なったため、多くの駅が利用者であふれ、入場制限が行われるなど鉄道交通の混乱は9日午後まで続いた。

 台風15号は関東を直撃する台風としては過去最強クラスで、千葉市や羽田空港などで観測史上1位の最大瞬間風速が観測された。気象庁は8日午前、緊急会見を開き関西、近畿圏を直撃した昨年9月の台風21号に匹敵する、として最大限の警戒を呼びかけた。

 昨年の台風21号では、関西空港は浸水したうえ暴風で流されたタンカーが連絡橋に衝突し、被害が拡大、長期化した。今回の15号でも羽田空港の立体駐車場で工事用の足場が崩落した。また、千葉県市原市ではゴルフ練習場の支柱とネットが住宅に向けて倒れ、女性が軽傷を負った。

 大型の看板や身近な構造物が倒れたり吹き飛んだりした所は数多(あまた)あるだろう。首都圏の暴風雨のピークが未明から早朝の時間帯だったことで、人的被害に至らなかったケースもあるはずだ。

 最強クラスの台風、記録的暴風は今後も襲ってくる。各家庭、一人一人が身の回りの構造物を検証し、命を守るための対策と備えをさらに徹底したい。

 鉄道をはじめとする交通網の混乱も、限度を超えると人命を脅かす事態になりかねない。鉄道会社はもちろん、利用者側も災害時の混乱の最小化に取り組まなければならない。

 今回の場合、たとえば「運転再開は午前8時以降になる」という鉄道会社の説明によって、午前8時頃に多くの利用者が一斉に詰めかけ、混乱を拡大させた可能性がある。発信側と受信側の認識が一致するような情報でなければならない。

 根本的な対策は利用者数を減らすことだ。通勤、通学などの災害時の対応を、学校と企業、個人が見直す必要がある。

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