【主張】停電の長期化 自由化の影響を検証せよ

 台風15号の暴風雨で東京電力の送配電網が被災し、千葉県を中心とする停電が長期化している。全国の電力会社が応援に駆けつけて復旧作業にあたっているが、電力供給が全面的に戻るのは13日以降になるという。

 電力の供給が止まれば電気製品だけでなく、水道やガス、通信などの生活インフラも機能停止に陥る。地元の住民は厳しい生活を余儀なくされており、一刻も早い復旧を目指してほしい。

 電力は国の重要な基盤だ。その安定供給を果たすには、電源の確保や送配電網の整備を怠ってはならない。とくに最近は台風の被害が拡大する傾向にあり、全国の送配電網を点検すべきだ。

 9日朝に関東地方に上陸した台風15号の影響で、東京電力グループの送配電会社「東京電力パワーグリッド(PG)」の供給エリアでは配電設備や鉄塔、電柱が被害を受けた。これによる停電戸数は一時、93万戸に達した。

 特に千葉県内の被害が大きく、停電は60万戸超にのぼった。停電戸数は減っているが、全面復旧に手間取っている。残暑が厳しい中で停電が長引き、住民の身体的・精神的な負担は深刻だ。

 情報発信のあり方も問題だ。東電は当初、全面復旧の見込みを11日としたが、その後の現地調査で復旧に時間がかかると訂正した。これでは混乱が拡大する。正確な情報提供に努めねばならない。

 非常用発電機を備えていない病院も多く、入院患者を転院させるなどの動きも出ている。病院や避難所となる学校などには非常用発電機を常備する対応が不可欠だ。それが今後の首都直下地震などへの備えにもなろう。

 気になるのは、政府が進める電力自由化の影響だ。

 平成28年4月に電力小売りが全面自由化された後、全国で大規模な停電が相次いだ。昨夏には台風などで関西・中部圏の数百万戸が一時停電した。昨年9月には北海道で全域停電(ブラックアウト)も発生した。新規参入増による競争激化が、電力の安定供給の障害になっている可能性がある。

 この自由化の一環で来年4月には電力会社から送配電部門を分社化する「発送電分離」が始まる。東電はこれに先駆けて分社化に踏み切ったが、自由化に伴う経営体制の見直しが復旧の遅れにつながっていないかも検証すべきだ。

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