【主張】サンマ記録的不漁 国別漁獲割り当てを急げ

 サンマが記録的な不漁だ。海水温上昇で魚群が平年より北方海域に移ったのと、外国の大型船による乱獲で資源量が減ったのが原因とされる。

 日本人にとってサンマは、視覚、嗅覚と五感を動員して季節を丸ごと食べる秋の味覚だ。それを将来にわたって食卓で楽しみ続けるためにも、国際的なルールづくりは待ったなしだ。国別の漁獲割当制度の実施に向け、資源量の科学的調査や各国への働きかけが欠かせない。

 今月8日に都内で開かれた「目黒のさんま祭り」は、不漁のあおりで生のサンマが手に入らなかった。岩手県宮古市の協力で、来場者向けの7千匹のサンマはすべて冷凍品を提供した。

 日本近海でのサンマ漁は8月に解禁された。

 本格的な流通が始まった東京都の豊洲市場では、9月第2週のサンマの入荷量は、前年同期に比べて半減した。宮城県でも8月の入荷は前年比7割減だった。

 今年は海水温の上昇によって、プランクトンと、それを追う魚群が平年以上に北方海域へ移った。サンマ漁の関係者は、海水温の下がる冬場にかけ、サンマの魚群が日本沿岸へ来遊することに期待を寄せる。

 サンマの深刻な不漁はここ数年続き、今年の水揚げ減少は予想されていた。だが、その減少幅の大きさに市場関係者はショックを隠せない。

 中国船や台湾船による、日本の排他的経済水域(EEZ)手前の公海での先取りや「爆漁」と呼ばれる乱獲が不漁に拍車をかけたとみられている。

 サンマは、夏から秋にかけて産卵のために北太平洋から日本近海に来遊する。それを中国や台湾の冷凍庫付きの大型船が待ち構え大量にさらっていく。小型船が多く、近海での漁が主体の日本への影響は甚大である。

 急ぐべきは、国別の漁獲割当制度の実現だ。今年7月、日本や中国、台湾など8カ国・地域がサンマの資源管理を話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)を開き、漁獲枠導入で合意した。ただ、その数字は公海とEEZで年約55万トンで、最近の漁獲量(約44万トン)を上回る緩い内容だ。効果には疑問符がつく。

 水産庁には、実効性ある国別割当量導入へ各国の説得に全力を傾けてもらいたい。

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