【主張】サウジ石油攻撃 供給減に備えた体制築け

 サウジアラビアの石油施設が無人機(ドローン)によるとみられる攻撃を受け、同国の原油生産量が半減する見通しとなった。

 サウジのエネルギー相は今回の攻撃で日量570万バレル分の原油生産が減少すると明らかにした。これはサウジの生産量の半分にあたり、世界の石油供給の5%以上に相当する。極めて重大な事態と受け止めねばならない。

 日本の原油輸入が減少する事態に備える必要がある。資源輸入国の日本はエネルギー安全保障を確立するため、原発を含めた多様な電源の確保などで課題解決に取り組むべきだ。

 世界最大の石油輸出国であるサウジの原油供給の減少は、世界の石油市場を直撃し、ニューヨーク先物市場の原油価格は一時15%も急騰した。石油市場の混乱は、世界経済にとっても大きなマイナスだ。米国はいち早く備蓄石油の放出を表明した。

 日本を含めた主要国も足並みをそろえ、備蓄石油の協調放出などで市場の混乱収拾を急がねばならない。サウジを盟主とする石油輸出国機構(OPEC)も必要に応じて増産に努めてほしい。

 攻撃されたのは、サウジ東部のアブカイクなど2カ所の石油施設だ。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は無人機10機でサウジへの攻撃を実施したと発表した。

 ただ、ポンペオ米国務長官は「無人機がイエメンから飛来した証拠はない」と述べ、イランが関与した可能性を示唆した。これまでもサウジの石油施設は無人機の攻撃を受けていたが、深刻な被害が発生したのは初めてだ。

 サウジ産原油が輸入全体の4割を占める日本への影響も必至だ。日本には官民合計で230日分の石油備蓄があり、当面は需給逼迫(ひっぱく)の恐れはないが、決して楽観は許されない。国際的な連携による他国からの調達増など、危機感をもって対応にあたる必要がある。

 中東の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡でも、米国とイランの対立激化を背景に何者かによるタンカー攻撃が相次いでいる。中東からの石油・ガス輸入をめぐるリスクは急速に高まっている。

 日本のエネルギー自給率は先進国で最低の9%にすぎない。石油に加えて液化天然ガス(LNG)の備蓄なども検討し、国際エネルギー市場の激変に備えたい。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ