【主張】台湾ソロモン断交 中国の太平洋進出警戒を

 南太平洋のソロモン諸島と台湾が断交した。経済援助を背景とする中国の外交工作の結果だ。

 中国が台湾独立派とみる民主進歩党(民進党)の蔡英文政権発足後、台湾はこれで6カ国との断交に追い込まれた。

 国際社会での台湾の切り崩しを狙う中国の圧力策は、あまりに露骨であり、強く非難したい。

 来年1月には、台湾で総統選挙を控える。中国は蔡氏の再選を阻み、中台関係で歩調の合う政権誕生をもくろんでいる。だが、中国の支配強化に反発する香港のデモ拡大を前に、蔡氏への支持は高まっている。中国はあからさまな選挙介入をやめるべきだ。

 台湾を外交承認しているのは16カ国だ。太平洋地域にはなおパラオなど5カ国が残る。いずれもソロモン諸島と同様の小さな島嶼(とうしょ)国だ。経済規模やインフラ(社会基盤)整備は限られ、経済力で押す中国には格好の標的である。

 こうした太平洋地域への中国進出は、台湾への外交圧力にとどまらない。インド太平洋地域の安全保障に重大な影響を与えることを警戒する必要がある。

 南太平洋では、サモアで港湾建設への中国支援が伝えられ、オーストラリアなどは中国海軍の拠点となることを警戒する。多額の援助を受けたフィジーにも、中国の軍事拠点となる懸念がある。

 中国のインフラ支援は、採算性を度外視して戦略的に実施されるケースがある。多額の債務を負った被援助国が「債務の罠(わな)」に陥れば、中国の戦略の実現が加速される。政治、経済、軍事を問わず、この地域で中国の進める活動を見過ごしてはならない。

 中国はかつて太平洋を東西で米国と分け合う破天荒な構想を米側に打診した。近年では巨大経済圏構想「一帯一路」に太平洋諸国を取り込みつつある。中国の勢力拡大を阻むためには、日米豪が連携を強める必要がある。地域の中核となる豪州は、安全保障に加えて、気候変動による海面上昇など環境対策も支援する構えだ。

 日本の外相として8月に河野太郎氏が32年ぶりに南太平洋諸国を歴訪した。「自由で開かれたインド太平洋」を実現するためには、継続的な支援を日本が中心となって進めるべきである。

 民間ベースの支援活動なら台湾と協力することも可能だ。実効ある支援に知恵を絞ってほしい。

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