【主張】北公船が小銃威嚇 抗議だけでは無法やまぬ

 北朝鮮の公船とみられる船舶が、日本の排他的経済水域(EEZ)にある日本海の好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺で、監視活動中の海上保安庁巡視船に小銃を向けて威嚇した。

 日本政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重抗議した。

 北朝鮮漁船の違法操業が深刻化している海域である。2年前にも水産庁の取締船が北朝鮮籍とみられる船舶から銃口を向けられたことがあった。

 もはや抗議や放水だけでは再発を防げないとみるべきだ。海保や水産庁の取締官の安全確保のためにも、武器による威嚇には警告射撃を含む対応が求められよう。

 折しもロシア極東沿海地方の連邦保安局は、日本海のロシアのEEZで違法操業中の北朝鮮漁船を拿捕(だほ)したと相次いで発表した。多くの漁師も拘束した。無法に毅然(きぜん)と対処すべきは日本も同じだ。

 8月24日、能登半島沖で海保巡視船に北朝鮮公船とみられるボートが近づき、迷彩服姿の乗組員が小銃を向けた。ボートは北朝鮮海軍のような旗を掲げていた。

 北朝鮮軍による武器を使ったあからさまな示威行動だろう。水産庁はふだん見かけない形の船だったため危険と判断し、付近で操業中の日本のイカ釣り漁船団に安全を確保する退去を呼びかけた。

 日本のEEZ内なのに日本の漁船団が退き、北朝鮮漁船が武装船に守られて好き放題に違法操業する。主権国家として見過ごすわけにはいかない異常事態である。

 大和堆ではここ数年、日本の取り締まりに対し多くの北朝鮮漁船が投石などの抵抗を繰り返している。昨年10~11月には海保巡視船が北朝鮮の大型鋼船に接触されて破損する事案もあった。難破した小型船の漂着が相次ぎ、行方不明者が出ているともみられる。そのすべてが漁民とはかぎらない。警戒を強めるべきは当然である。

 海保は水産庁と連携して取り締まりを強化しており、昨期は延べ約6900隻に警告し、約2600隻に放水するなどした。さらに公務執行妨害の現行犯での立件など、国内法に基づく強制捜査もためらうべきではない。

 残念なのは、今回の件が報道されるまで半月以上も政府が公表しなかったことだ。これをはばかる理由がどこにあるというのか。適切な情報開示があってこそ、取り締まりに対する国民の理解が深まると政府は認識すべきである。

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