【主張】はやぶさ2 無事帰還の完璧な遂行を

 探査機「はやぶさ2」は小惑星「リュウグウ」での全てのミッションを終え、地球への帰還を開始した。1年余をかけて約8億キロを飛行し、東京五輪後の来年末に地球に戻る予定だ。

 帰還カプセルには、2度の着地で採取した小惑星リュウグウの地表と地下の物質が収まっているとみられる。

 太陽系の成り立ちや、生命の起源に人類を誘(いざな)ってくれるはずだ。最も重要なミッションである「無事帰還」に万全を期し、大きく膨らんだ「玉手箱」を地球に届けてもらいたい。

 来月3日以降、機体を加速するためのイオンエンジンの連続運転を開始し、はやぶさ2の帰還ミッションは本格化する。帰還の成否は、このイオンエンジンにかかっている。

 2010(平成22)年に小惑星「イトカワ」からの帰還を果たした初代「はやぶさ」は、4基のイオンエンジンが全て故障し絶体絶命の危機に陥った。

 後継機のはやぶさ2は、初代の教訓を基に耐久性や推進力の向上が図られ、往路の32億キロをトラブルなく乗り切った。エンジン開発を担当した細田聡史さんは「帰りは大丈夫かと問われて『自信がある』と答えてはいるが、絶対はない」と気を引き締めている。

 はやぶさ2は今年7月、想定を大きく超える精度が必要とされた人工クレーターへの着地に成功した。リスク評価を徹底したうえであらゆる技術的可能性を追求し、不測の事態を乗り越えてきたのである。そこには、初代の失敗経験と困難を克服した自信が引き継がれている。

 復路の8億キロが無難であってほしい。たとえ不測の事態が起きても、それを乗り越える対応力がはやぶさチームにはあるはずだ。

 2度目の着地成功後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一・プロジェクトマネージャは「百点満点で千点」と語った。

 日本の科学技術が低落傾向にあると指摘されるなか、小惑星探査で日本の宇宙技術の高さを確固たるものとして世界に示した意義は大きい。リュウグウの次は火星の衛星で物質採取に挑むという。

 はやぶさ2の挑戦は、道半ばである。無事帰還という最重要ミッションを完璧に成し遂げ、「2千点」の成果を次代のプロジェクトに引き継いでもらいたい。

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