【主張】米韓演習の延期 非核化逆行の対北融和だ

 米国は軍事的圧力を弱めて、北朝鮮に誤ったメッセージを送るのか。北朝鮮による核・ミサイル戦力放棄を遠のかせると懸念せざるを得ない。

 エスパー米国防長官は17日、月内に予定していた米韓両空軍の合同演習の延期を発表した。トランプ米大統領は同日、ツイッターで北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し、「早く行動を起こし、ディール(取引)をまとめるべきだ。近いうちに会おう!」と呼びかけた。

 エスパー長官は延期について「平和を促進する環境をつくるための善意の措置だ」と語った。演習に反発する北朝鮮に配慮し、米朝実務協議の早期再開を促す狙いがある。

 だが、このような融和的なアプローチは逆効果になるだろう。北朝鮮の目には、演習延期は韓国の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄と並んで軍事圧力の軽減と映るからだ。

 過去を振り返れば北朝鮮が理解するのは力だけで、外交的善意など通用しないことは明らかだ。トランプ政権が甘い態度でいる限り、実務協議が再開されても非核化は進展しないだろう。

 昨年6月の最初の米朝首脳会談は、米国主導の強い軍事的、経済的圧力のもと実現した。金委員長は体制崩壊を恐れ、トランプ大統領に頭を下げたのである。

 ところが、トランプ大統領が米韓演習中止など軍事的圧力を弱める措置に同意してしまったため、北朝鮮は強気になり、非核化の約束を反故(ほご)にしている。国連安全保障理事会の決議に反して新型短距離弾道ミサイルの発射を繰り返すなど軍事力強化を急いでいる。

 経済制裁は一定の効果を上げているが、1990年代に数十万から数百万人の餓死者を出しても体制崩壊しなかった独裁国家である。軍事的圧力も必要なのだ。

 北朝鮮に圧力をかけることは、日本国民の安全確保と拉致問題の解決に欠かせない。北朝鮮は7日、宋日昊・日朝国交正常化担当大使の談話で、北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射を非難した安倍晋三首相を「ならず者」と罵倒し、日本上空通過のミサイル発射の示唆で威嚇した。

 だが、ならず者は北朝鮮の方である。安倍首相はトランプ大統領に働きかけ、軍事、経済両面での「最大限の圧力」路線に回帰させなくてはならない。

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