【主張】臨時国会閉幕 役割果たしたとは言えぬ

 臨時国会が終わった。帝国議会から国会へ衣替えして200回の節目だったが、国会本来の役割を十分果たせたと言えないのは残念である。

 日米貿易協定をめぐっては、活発な論戦もあった。大学入試共通テストの議論は英語民間検定試験導入の見送りにつながった。だが、それで満足してもらっては困る。

 即位の礼と大嘗祭(だいじょうさい)がつつがなく執り行われたのを機に、皇位の安定継承策の本格論議に備えて、国会議員一人一人が皇室の歴史伝統に関する知見を蓄える機会を持つべきだった。

 国会は、日本の進むべき道を討議し、独立と平和、繁栄に資する責任を負う。にもかかわらず目をそらしている課題がたくさんあった。その筆頭が中国問題だ。

 ウイグル族などへの中国の人権弾圧は深刻だ。香港の人々は中国が国際約束である「一国二制度」を破っていると抗議している。米議会は香港を支援する香港人権民主法を成立させた。ウイグル人権法も成立間近だ。

 隣国日本の国会は決議ひとつしていない。弾圧の最高責任者である習近平中国国家主席を国賓に招くことに疑問を呈した党は見当たらない。国際環境を激変させた米中新冷戦を踏まえ、日本がどう行動すべきか正面から論じないのも極めて危ういことである。

 北朝鮮の核・ミサイルや拉致問題、中東をめぐるエネルギー安全保障も、もっと真剣に論じられるべきだった。衆参の憲法審査会の機能不全は本当に情けない。

 国会召集の直前に消費税率が10%へ引き上げられた。野党は7月の参院選で増税に反対したが、引き上げの影響やポイント還元、軽減税率の在り方について存分に質(ただ)したとは言えなかった。

 安倍晋三首相は在任記録が最長になったが、政権のゆるみが目立った。不祥事で重要閣僚2人が辞任した。説明責任が今も果たされていないのはどうしたことか。

 立憲民主党など野党4党は「桜を見る会」の問題追及のため40日間の会期延長を求めた。与党は災害、景気対応の補正予算案、令和2年度予算案の編成を急ぐとして拒んだ。内閣府による招待者名簿破棄などがあり、首相や政府側の説明は十分ではなかった。問題がないというなら今からでも遅くない。全てを明らかにして新年を迎えればいい。

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