【主張】税制改正大綱 投資の拡大で成長を促せ

 自民、公明両党がまとめた令和2年度の与党税制改正大綱は、設備投資減税を中心に拡充し、企業活力の向上を狙ったものだ。

 産業界が抱え込む潤沢な内部留保を活用して活発な投資を促し、日本経済の底上げを目指している。大企業にベンチャー企業向けの投資を促す減税を盛り込んだ。次世代通信システムの整備前倒しを促進する思い切った税制優遇も打ち出した。

 それぞれに一定の効果は期待できようが、経済再生につながる力強さに欠けるのは否めない。

 企業の意欲や活力を引き出すには、法人税を引き下げるだけではその効果は限定的だ。果断な規制改革などと同時に進めることが肝要である。そのためには政府の成長戦略をさらに具体化するなどの取り組みも欠かせない。

 大企業が非上場会社などに1億円以上を出資した場合、出資額の25%相当を法人所得から差し引く制度を創設する。自社にない技術や事業を持つベンチャー企業などとの連携を促すことで、経済のデジタル化に対応した新規事業への参入を後押しするという。

 高速で大量のデータを送受信できる第5世代(5G)のシェア争いが激化する中で、日本企業の5G通信網の整備も支援する。政府が認定した事業者を対象に5G基地局に対する投資額の15%を税額控除し、税負担を軽くして5Gに関する国内産業を育成する。

 NTTドコモやKDDIなどの携帯電話会社は、来春にも5G対応の商用サービスを開始する予定だ。日本の通信機器メーカーの世界シェアは小さいだけに、5Gの早期整備を国内勢の盛り返しにもつなげてもらいたい。

 こうした減税財源を確保するため、企業向けの租税特別措置を厳格化するのは当然である。とくに収益が伸びているのに投資額が少ない企業への税制優遇は、その廃止を含めて厳しく見直す必要がある。役目を終えた研究開発減税なども改廃すべきだ。

 企業が保有する現預金は、昨年度末で約240兆円にも達しており、その活用は大きな課題だ。企業の投資は個人消費と並んで景気を牽引(けんいん)する両輪だからだ。企業の収益が投資や賃上げなどに回らなければ、民需主導の成長など期待できない。政府も企業が投資に積極的に取り組む環境整備を継続的に進める必要がある。

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