【主張】野党の再編 理念も政策も置き去りか

 立憲民主党の枝野幸男代表が、国会で立民と統一会派を組んでいる国民民主党、社民党、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」などに対して合流を呼びかけている。与党に代わり政権を担い得る、強力な党が必要との認識からだ。

 「年明け早々にも解散総選挙の可能性がある」と、選挙対策の側面を隠していない。統一会派に属する衆参国会議員が1つの政党に集うとすれば、約180人となる。

 自民党の半数近くの規模の党を作り、選挙や国会論戦で有利な地歩を固めたいのだろう。顔ぶれからは旧民主党や旧民進党の再来、復活の印象を受ける。

 見当たらないのは鳩山由紀夫元首相や自民に走った数人の元閣僚らくらいだ。政権を任すに足る政党が生まれたと有権者から見てもらえるのか、心許(もと)ない限りだ。

 国民民主には、参院側に立民への不信感が強いなど賛否両論がある。玉木雄一郎代表は(1)党名や政策、人事をめぐる対等な協議(2)衆参一体の対応(3)参院間の信頼感醸成の3条件をもとに合流の交渉に臨む方針だ。

 だが、枝野氏は立民の「理念、政策、政治姿勢を貫く」として、玉木氏が求める協議には慎重だ。政党や会派に合流を呼びかけながら、理念や基本政策に関する突っ込んだ話し合いを避けるのは民主主義の基本に反している。

 統一会派を組んでいても立民と国民の理念、基本政策の違いは歴然としている。「原発ゼロ」の立民と、原発を抱える電力会社の労組が支援する国民とでは、原発政策の溝が大きい。

 共産党との共闘に立民は前向きだが、「穏健な保守」を掲げる国民は慎重だ。憲法問題では、自民による改正の動きへの反対で足並みをそろえても、具体的改正をめぐる方針は一致しないだろう。

 十分な話し合いなしに立民の理念、政策、政治姿勢に同調せよと迫るなら、立民以外の党、会派に理念、基本政策を捨てよと強いるに等しい。立民の掲げる「まっとうな政治」に反しないか。解散総選挙を恐れて焦っているとしても認められない手法である。

 そもそも立民は旧民主、民進の左派が主体となって作った党で、現実的な安全保障、エネルギー政策を持っていない。「左派色を一層強めた民主」のような党を作っても政権を狙うのは難しい。

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