【主張】プーチン氏の発言 日本への愚弄は許されぬ

 ロシアのプーチン政権には北方領土を返還する意志がないことが、改めて浮き彫りになった。ロシア側からはまたもや日本を愚弄するような認識が示されたのである。到底容認できない。

 プーチン大統領が19日の記者会見で、日本との平和条約交渉について「引き分けを目指す」と語った。柔道家として知られるプーチン氏が「引き分け」という日本語をあえて使うことで、日本に期待感だけ抱かせてごまかそうという狙いなのだろう。

 プーチン氏が2012年にこの言葉を初めて使って以来、北方領土交渉は何ら進展していない。日本をなめるにも程がある。

 就任後初めて訪露した茂木敏充外相が18、19の両日、ラブロフ外相と会談した。両外相は非公式協議を含む計8時間の話し合いで、平和条約交渉に関する協議項目を整理したという。

 安倍晋三首相はプーチン氏と27回も会談を重ねてきた。今ごろ協議項目の整理とはあまりに悠長な話ではないか。返還につながる進展はなかったということだ。

 ラブロフ氏は会談後の記者会見で、領土問題の解決には日露関係が包括的に発展することが必要だと主張した。これは日本から経済的果実だけを得ようというプーチン政権の常套(じょうとう)句だ。

 安倍首相は16年に「新しいアプローチ」による平和条約交渉を打ち出し、対露経済協力を領土問題解決に結びつけようとしてきた。北方領土での共同経済活動の話し合いも進めている。

 ロシアの術中に自らはまったに等しい。ロシアの狙いは領土交渉を引き延ばし、日本から技術協力や極東への投資を引き出すことなのである。

 ロシアは日本固有の領土である北方四島を不法占拠している。返還が必要なのであり、「引き分け」などあってはならない。

 北方四島の返還だけが日露関係を劇的に発展させ、ロシアの望む経済協力にも道を開く。安倍首相はこのように訴え、対露外交を仕切り直してもらいたい。

 今回の外相会談に先立ち、ロシアの国境警備当局が北方領土の歯舞群島付近で日本漁船5隻を拿捕(だほ)し、乗組員を拘束した。茂木外相が早期の解放を要求したのは当然だが、ロシアは応じていない。人質をとるようなロシアの挑発行為にはあきれるばかりである。

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