【主張】パラオ外洋レース 意欲的プラ調査に声援を

 年の瀬に横浜港からスタートし、約3千キロ南の島国・パラオ共和国を目指す国際ヨットレースが海洋プラスチックの科学調査に協力する。

 プラスチックごみによる海洋汚染が新たな地球規模の環境問題として関心を集める中での意欲的な取り組みに大きな声援を送りたい。

 海プラ問題では5ミリ以下の破片となって漂うマイクロプラスチックなどの実態把握が喫緊の課題とされている。日本でも複数の大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)などが調査しているが、プラごみの最大排出源と目される東南アジアの太平洋海域がほぼ手つかずとなっていた。

 そうした中で、神奈川県セーリング連盟などが準備を進めた「2019-2020 日本-パラオ親善ヨットレース」とJAMSTECの出合いがあったのだ。

 参加ヨット7艇のうち1艇とJAMSTECの研究者が同乗する伴走艇にマイクロプラスチックの採集装置を取り付けて走る。

 1950年代以降、世界で生産されたプラスチックは83億トンに達し、1億5千万トンが海に流出したと考えられている。

 そのうち、沿岸漂着分などを除いた4500万トンが外洋を漂っているはずなのだが、これまでの観測などから見積もられる量は、わずか44万トンにすぎない。99%の行方が分からないのだ。

 環境問題としての海プラは、この「ミッシングプラスチック」の解明から始めなければならない状況にあるという。

 広大な海を相手に研究機関だけでは間に合わない。ヨット界の協力は貴重で、しかも今回のコースはミッシングプラスチックのたまり場とおぼしき海域と重なる。学術的な意味も高いのだ。

 便利な素材のプラスチックは、半世紀にわたり、多くの分野で大量に使用されてきた。天然の有機物と異なり、プラスチックは細菌の力で分解できない。自然界に残り続けることで、さまざまな負の影響を引き起こす。

 レジ袋やストローの使用削減だけで解決する問題ではない。タイヤの摩耗片も海のマイクロプラスチックの主要な供給源なのだ。

 パラオも日本も共に海洋国家である。両国を結ぶヨットレースがより多くの人々の関心を、海洋プラスチックに向ける契機となることを期待する。29日の開幕だ。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ