【主張】子供の体力低下 外で遊ぶ楽しさ教えたい

 子供の体力低下が気になる。

 スポーツ庁が昨年12月に公表した令和元年度の全国体力テストの結果によると、50メートル走や反復横跳びなど実技8種目を点数化した体力合計点は、小中学校の男女とも前年度を下回った。

 テレビゲームやスマートフォンの普及などにより、外で遊ぶ機会が減りつつあるのが一因とみられている。

 習慣の変化が影響しているのだとすれば、「娯楽の多様化」では片づけられない。将来の社会の形にかかわる問題として、教育現場や地域を巻き込んだ取り組みが必要である。

 テストは平成20年度から毎年、小学5年と中学2年の男女を対象に行っている。

 小5男子は握力、50メートル走など3種目で、平均値が過去の最低値を下回った。体力合計点でも最低点を記録した。中2男子も1500メートル走など4種目で最低値を更新している。どちらも、「走る力」の低下が目につく。

 子供の「走る力」は本来、戸外での遊びを通じて自然に培われるものだろう。鬼ごっこ一つを取っても、子供はさまざまなルールを編み出し、遊ぶ「楽しさ」を創り出してきた。それがゲーム機器やスマホなどの娯楽に取って代わられたのなら、大人の責任で状況を変えなければならない。

 ボール投げの距離も下落傾向にある。ボール遊びが周囲への危険を伴うとして、昨今は大半の公園で禁じられており、投げ方を知らずに育った子供も多い。

 東京都板橋区では昨秋、児童らが、サッカーなどボール遊びのできる公園の開放時間の延長などを陳情した。区議会は全会一致で採択し、区が具体的な施策に乗り出している。子供が自由に遊べる場所を求めている事実は見逃せない。遊び場の環境を変えるには、社会の理解も必要だろう。

 スポーツ庁は昨年末に、幼児期からの体力づくりを検討する会議を設置したが、外で体を動かす時間を増やせばいい、という発想では解決しない。体育の授業にしても放課後の学校施設の開放にしても、体を動かす楽しさを子供の中に根づかせる工夫がほしい。

 体を動かすことの楽しさ、すばらしさを学ぶのに、アスリートにまさる模範はいない。この夏の東京五輪・パラリンピックも子供たちの格好の教材となるはずだ。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ