【主張】新型肺炎と日本 拡大の阻止へ猶予はない

 中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の国内拡大を、全力を尽くして防がなくてはならない。

 武漢への渡航歴のない奈良県在住の日本人男性の感染がわかった。武漢からの中国人ツアー客のバスを運転していた。国内で日本人の感染および「人から人へ」の二次感染が確認されたのは初めてだ。安倍晋三政権はこれ以上、後手に回ってはならない。

 日本人206人を乗せた政府の全日空チャーター機が武漢から羽田空港に到着した。発熱や風邪の症状がある人は、都内の病院が受け入れた。救援を手配した政府や全日空、医療機関などの関係者の労を多としたい。

 第2、3便のチャーター機派遣が予定されている。希望者全員の帰国を早期に実現してほしい。

 中国政府は新型肺炎の情報開示を怠り、武漢を含む同省を封鎖した。チャーター機によって帰国した日本人は被害者である。万全の対応によって、彼らを支えなければならない。

 症状がある人の入院は当然だが、症状がなく、ウイルス検査の結果待ちの帰国者に自宅待機を認めたのは疑問だ。政府が用意した宿泊施設で全員に一定期間待機してもらうべきではなかったか。その方が本人や周りの人々に安心感を与え、風評被害も防げる。

 中国ではわずかな期間のうちに当局発表の新型肺炎による死者数が3ケタに達し、感染者数は2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の5327人を超えた。中国政府は25日、海外への団体旅行の27日からの禁止を発表して実施した。だが日本は武漢や湖北省からのツアー客の自由な行動を今も認めている。現時点での国内感染例は、武漢からの入国者が絡んでいる。

 日本がずさんな入国管理を続ければ、いくら対策を講じてもざるで水をくむようなありさまとなってしまう。安倍首相や加藤勝信厚生労働相の責任は重大である。

 台湾は24日、湖北省からのツアー客に台湾から急ぎ離れるよう促した。翌日には同省からの来台禁止と、同省以外の中国人の入境申請受け付けの当面見送りを決めた。香港は、中国本土からの個人旅行者の入境停止で中国政府と合意した。日本は一層真剣に取り組む必要がある。拡大阻止には一刻の猶予もないと知るべきだ。

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