【主張】アフリカ豚コレラ 法改正機に防疫強化図れ

 アフリカ豚コレラ(ASF)対策で、蔓延(まんえん)防止を柱とした家畜伝染病予防法改正案が30日可決、成立した。

 国内の養豚場で発生した場合、未感染の養豚場の豚でも、発生地に近ければ予防的に殺処分できる内容が柱だ。

 昨年、韓国でASFの発生が確認され、日本に侵入する懸念が高まっていた。空港などでの水際対策にも限界がある。侵入後を想定し、少しでも被害を小さくすることが目的だ。

 改正法はあくまでASFの侵入を許してしまった場合の対処策であり、無論、これで十分というわけではない。ドイツなど欧州に比べて、日本の養豚場は衛生面の管理が遅れている。人や車の出入りに加えて、ネズミなどの小動物の侵入対策も必要だ。

 豚舎の衛生管理や水際対策の強化に向け、国と地方、養豚農家が一体となった対策を進める体制を確立しなければならない。

 日本では羽田や中部空港などでASF遺伝子の陽性反応が80件以上出ており、かろうじて水際で食い止めている。

 折から、中国湖北省武漢市を発生源とする肺炎感染者が日本国内でも確認されている。人から人に感染する新型コロナウイルスが原因だ。ASFは人には感染せず食べても人体に影響はない。ただ関東地方や沖縄県にまで拡散した豚コレラ(CSF)と違ってワクチンがなく、感染すれば拡大防止はなすすべがなかった。

 人と家畜の違いはあるが、国内へのウイルス侵入を水際で食い止めねばならぬのは同じだ。ASF対策では法改正したものの、ワクチンがないなど、侵入を許した場合の対処策が必ずしも万全と言えない点も共通する。

 大切なのは、日本への肉製品持ち込みが相次ぐ中国やベトナムなど2国間での緊密連携だ。

 日中両政府は昨年11月、家畜伝染病の感染源となる肉製品などの不正な持ち出しの禁止や検疫措置の周知など、協力強化に関する覚書に署名した。これを現場で徹底させなければならない。

 昨年7月、豚肉製品を大量に持ち込んだベトナム国籍の女性が家畜伝染病予防法違反で警視庁に逮捕された。輸入検査を受けずに畜産物を持ち込んだ場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。違法行為者の検挙をためらってはならない。

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