悼-いたむ- 俳優・宍戸錠さん 生涯「エースのジョー」

 凄腕の殺し屋だった。銃を抜けば「早撃ち世界第3位、0・65秒」。指を左右に振りながらニヤリと笑う。人呼んで「エースのジョー」。もちろん映画の中での話。だが、日本を舞台に殺し屋やガンマンが活躍する映画が毎月のように公開され、人気を博したことなど、今では想像もつかないだろう。

 映画は娯楽の王様だった。「エースのジョー」こと宍戸錠さんは、その立役者の一人となった。日活の第1期ニューフェイスに合格。細面の二枚目だったが、飛躍するきっかけを求めて豊頬(ほうきょう)整形手術を受けた。著書によれば、新人の頃、大女優から「差し歯にするといい」と助言された。役のためなら肉体改造も辞さないのが役者。そのときの衝撃が、記憶の底にこびりついていた。不敵な面構えになり、悪役を研究。小林旭さんや赤木圭一郎さんの敵役で注目され、観客は主役ではなく宍戸さんの殺し屋に拍手を送ったという。

 「エースのジョー」は、昭和36年に「ろくでなし稼業」が封切られる際、日活の社員が宍戸さんにつけたニックネーム。入社7年、出演77作目にして初めての主演作だったが、石原裕次郎さんの「タフガイ」など、ニックネームは日活スターの証しだ。

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