【主張】GDP大幅減 危機的状況の認識を持て

 厳しい数字である。令和元年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で6・3%減になった。5四半期ぶりのマイナス成長である。

 消費税増税や相次ぐ台風などが消費を下押しした。海外経済の減速が企業心理を悪化させて、設備投資も落ち込んだ。前回の消費税増税時以来の下げ幅となったのは、想定以上の悪化と言わざるを得ない。

 少なくとも、昨年段階でこれほど景気が悪化していたことを、まずは認識しておく必要がある。その前提の上で新型コロナウイルスの感染拡大に対処すべきだ。

 このままでは今年1~3月期もマイナス成長の可能性がある。安倍晋三政権は景気が失速しつつあるという危機意識を共有し、万全の対策を大胆に講じてほしい。

 新型肺炎の蔓延(まんえん)を阻むための政府対応は後手に回ることが多かった。経済運営で同じ轍(てつ)を踏むことがあってはならない。

 10~12月期は、増税などに加えて暖冬による冬物商品の販売不振も重なった。米中摩擦は昨年末から一時休戦状態だが、中国経済の減速傾向などが企業の景況感を悪化させたのも大きかった。

 政府は増税に合わせてキャッシュレス決済でのポイント還元などの対策を打ち出した。それでも生活防衛意識や企業の慎重姿勢は払拭しきれなかった。政府は一連の対策にどれほど効果があるのかを検証すべきだ。

 その上での新型肺炎である。西村康稔経済再生担当相は「経済への影響を十分注視し、緊急度に応じて、必要な施策を臨機応変に講じる」という談話を発表した。

 先に政府は中小企業に対する5千億円の融資枠を準備するなどの緊急対策をまとめた。年度末の資金繰りを懸念する企業にきめ細かく対応すべきである。さらなる対策も機動的に講じたい。その際に新たな財政支出が必要なら、ためらうべきではない。

 違和感を禁じ得ないのは、いまだに政府が景気認識を「緩やかに回復している」としたままなことである。すでに中国からの訪日客激減で観光業や小売業が打撃を受けた。中国の生産網が寸断されて苦境に立つ製造業も多い。

 いたずらに先行きを悲観するのは適切ではないが、実体経済の変調を踏まえて従前の景気認識を改めるべきときではないか。その点を見誤るわけにはいかない。

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