【主張】中学教科書検定 偏向記述是正が不十分だ

 来春から使われる中学教科書の検定結果が公表された。戦後の造語である「従軍慰安婦」が再登場するなど、検定を経てもバランスを欠いた記述が残っているのは、うなずけない。

 学習指導要領改定に伴い、各教科の内容が一新される。特に検定結果が注目される社会科では地理、歴史、公民の各分野を通し、北方領土や竹島、尖閣諸島について指導要領に沿い日本の固有の領土と明記された。記述が充実したことは望ましい。授業でも、教員が歴史的経緯などをしっかり理解して教えてもらいたい。

 一方で、歴史の近現代を中心に日本をことさら悪く描く自虐史観に基づく記述が相変わらずある。例えば「従軍慰安婦」という不適切な記述が検定をパスした。「戦時体制下の植民地・占領地」との見出しを掲げた本文の脚注には、「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」とある。

 「従軍慰安婦」は、平成8年に検定結果が公表された中学教科書に一斉に登場した。だが「強制連行説」が否定され、「従軍」と冠した記述がなくなるなどの是正が進んだ。戦場における性の問題がからみ、中学であえて扱う必要があるのか、疑問も出て一時は扱われなくなった経緯がある。

 別の教科書も、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を要約して取り上げている。教科書にも禍根を残す河野談話の見直しは欠かせない。

 朝鮮人労働者らの徴用についても「過酷な条件の下での労働を強いられた」などと「強制連行」と誤解させるような記述がまかり通っている。

 そうした自虐史観の見直しに取り組んできた「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する自由社版歴史教科書が不合格になったのは残念である。検定まで自虐史観にとらわれていないか。

 東京五輪・パラリンピックについて「振り返ってみよう」といった五輪関連の記述も目立つ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で五輪延期が検討されており、大幅な自主訂正が予想される。

 何が起こるか分からない時代である。一面的な記述を排し、多角的に考える力を養う教科書の編集と検定のあり方をいま一度、見直してもらいたい。

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