【主張】キャッシュレス化 官民の協力で普及を促せ

 昨年10月の消費税増税に合わせて政府が導入した、キャッシュレス決済のポイント還元が今月末で終了する。

 このポイント還元事業には3千億円以上が投じられ、全国で約115万にのぼる中小店舗が参加した。これによって昨年のキャッシュレス決済比率は過去最高の約27%に達し、欧米に比べて遅れている非現金決済の進展で一定の成果を上げたといえよう。

 ただ、今年2月以降はコロナ禍の影響も受けた。政府は今回の取り組みを詳細に検証し、キャッシュレス決済の課題を解決することが肝要である。

 政府のポイント還元事業が終わり、金銭面の「お得感」がなくなることで、キャッシュレス決済が停滞する懸念もある。せっかくの普及の流れを止めないようにしたい。そのためには政府による支援だけでなく、民間事業者の創意工夫も求められる。

 キャッシュレス決済のポイント還元事業は、増税に伴う景気の落ち込みを防ぐほか、諸外国に比べて遅れているわが国のキャッシュレス決済の比率を高めるのが狙いだった。

 民間事業者も独自にポイント還元などの取り組みを進めた。コンビニエンスストアなどでの少額決済で現金を使わず、スマートフォンで決済する利用者も増えた。店側も現金を管理する手間が省け、生産性の向上につながる。

 社会のデジタル化が進む中で、経済の効率化や利便性を高めるため、現金を使わないキャッシュレス決済の普及は不可欠だ。店頭で現金をやり取りしなければ、新型コロナウイルスの感染拡大の防止効果も期待できる。

 それだけに政府のポイント還元事業が終わっても、キャッシュレス決済を推進する取り組みは重要だ。クレジットカード事業者は政府の要請を踏まえ、加盟店が支払う手数料を低く抑える努力を続けてほしい。

 政府が音頭をとるQRコードの統一規格「JPQR」の利用も進めたい。事業者の独自規格の乱立は利用者の混乱を招く。事業者同士の連携が欠かせない。

 政府は9月から、マイナンバーカードを使った新たなポイント還元事業を来年3月までの期間限定で実施する。ただ、同カードの普及率は2割に満たない。この普及も大きな課題である。

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