【主張】コロナワクチン 高齢者らの優先も検討を

 ここ何カ月にもわたり大勢の人が友人との会食を控え、一年で最も美しい季節の旅行を見送ってきた。

 新型コロナウイルスから高齢者を守るためだったと言っても過言ではない。父や母、祖父母ら近しい人が感染し、多くの人が亡くなる事態を受け入れることができなかったからだ。

 効果のあるワクチンが登場したら、患者らに日々接している介護福祉関係を含む医療関係者に優先的に接種してもらいたい。

 同時に、高齢者と基礎疾患のある人にも優先的に受けてもらいたいと考えるのは自然なことではないか。新型コロナの場合、高齢者や基礎疾患のある人の重症化リスクが高い特徴があるためだ。

 ワクチン接種の優先順位について、政府は8月中にも大まかな考え方をまとめる方針だ。

 優先順位を決めるのは、ワクチンが開発されても生産量が限られれば、需要に追いつかないことが予想されるためだ。国民の理解を得ながら事前に優先順位を決めておかなければ、不平や不満の高まりで混乱を招きかねないからでもある。

 この際に参考になるのが、政府が新型インフルエンザウイルスの流行後に策定した行動計画だ。

 計画では、医療関係者や感染症対策に携わる公務員、電気やガスの事業者など、高い公益性と公共性を持つ人が優先的に位置づけられている。

 しかし、今、立ち向かっている感染症の特性に応じて、優先順位を柔軟に考えるべきなのは当然のことだ。

 このため、政府は行動計画とは別の方針で、新たな優先順位を作成することを検討中だ。高齢者や基礎疾患のある人へのワクチン接種を優先して感染拡大を防げれば病床の逼迫(ひっぱく)も避けられる。検討に値するだろう。

 厚労省によると、陽性者に占める全体の死亡率は4%程度だ。だが、年齢別にみると、70代は14%、80代以上は28%と著しく高い。一方で30~50代の現役世代は1%程度である。

 高齢者の中にも基礎疾患がある人もいれば、ない人もいる。若くても基礎疾患のある人をどう位置付けるべきかなどの課題もある。新たな方針では、対象年齢や個々の疾患を丁寧に検討することが必要だろう。

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