G20財務相・中央銀行総裁会議 反保護主義・難民を削除…米中対立浮き彫り

 【バーデンバーデン=中村智隆】ドイツで18日、閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では、これまで盛り込んできた通商政策における「反保護主義」の記述を見送ったほか、「難民支援の強化」などの文言も削られた。トランプ米政権の発足後初の会合は、保護主義的な動きを強める米国と、巨額の対米貿易黒字を抱える中国をはじめ、各国が対立する異例の事態となった。

 声明では、通商問題について「経済への貿易の貢献度を高めるよう取り組む」と記載。直近の声明で明記した「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との表現を削除した。また、難民支援や温暖化対策に関する文言も削られた。

 トランプ米大統領はイスラム圏6カ国から入国を規制する新たな大統領令を打ち出し、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」離脱も主張している。

 「議論はしたが、まとまらなかった。結果的にこの表現に落ち着いた」

 財務相同行筋は、今回の共同声明の貿易政策をめぐる文言について、調整過程をこう打ち明けた。

 交渉筋によると、貿易赤字の削減を掲げる米国は通商問題で自国にとって「公正な」貿易を主張。ムニューシン米財務長官は、「保護主義への対抗」の表記は容認しがたいとして、削除を求めて譲らなかった。これに対し中国の肖捷財政相は「断固として保護貿易に反対すべきだ」と主張したという。

 紛糾した議論は最終日の18日まで調整が続き、一時は声明から通商関連の文言を削除することも選択肢に上がった。ただ「何も書かないと、G20が決裂したと受け止められかねない」(財務相同行筋)との懸念から、結束を示す表現を残したという。

 ムニューシン氏は閉幕後の記者会見で「自由で公正な貿易が重要」との認識を重ねて強調。議長国ドイツのショイブレ財務相は貿易の議論を「複雑だった」と振り返った。

 通商問題に関する議論は7月の首脳会議までに決着を目指すが、今後に火種を残した形だ。

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