【スゴテク企業】44歳で農工大博士に 埼玉・所沢市の「科学するメッキ屋」が生んだ“1本3役”の自動車用レスキュー器具

 車内の火災を消し止め、脱出のためシートベルトを切り、窓を割る…。1本3役で事故や災害に遭ったドライバーの命を守る「消棒RESCUE(レスキュー)」。その開発の中心になったのは、埼玉県所沢市の「ワイピーシステム」だ。元々は「科学するメッキ屋」を掲げる表面処理加工業。ホンダの純正オプションにも採用された同製品の開発に至った経緯を、吉田英夫社長(61)=写真=に聞いた。

 ■44歳で大学院に

 起業したのは30歳。メッキ工場勤務の父親から「メッキ屋はもうかる」と言われ、子供の頃から工場を作ろうと思っていた。外回りに現場にと走り回った40歳過ぎ、「俺、メッキ屋なのに、メッキの原理を知らない」という疑問が徐々に膨らみ、焦りにもなった。東京農工大の大学院博士課程に籍を置いたのは44歳。これが第1の転機となった。研究テーマは「公害を出さないメッキ技術の開発」だ。

 超臨界流体の中でメッキ反応を起こすその研究は、エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受け、コンソーシアム(共同事業体)を形成。ここで「町工場のおやじが日頃知り合えない大学・学会、大企業の人々とのネットワークができた」という。研究成果を落とし込んだ商品は、超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒に使い、排水設備が要らない二酸化炭素洗浄機。この洗浄機を納入した会社で起きた「ボヤ騒ぎ」が、第2の転機をもたらした。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ

    どう思う?

    「どう思う?」一覧