平成30年史 番外編 総会屋利益供与事件「内輪の論理あった」日本証券業協会・稲野和利会長

 バブル崩壊後、証券業界はスキャンダルに見舞われた。旧四大証券と旧第一勧業銀行による総会屋への利益供与事件が表面化してから今年で20年。日本証券業協会の稲野和利会長(野村証券出身)は産経新聞の取材に応じ、事件の意義や教訓を語った。

 野村証券は総会屋利益供与事件を受け、代表権を持つ取締役が総退陣するなど経営陣が大幅刷新され、私は平成9年6月に人事担当の取締役に就任した。

 3年に発覚した大口顧客への損失補填や暴力団関係者との不透明取引に続く不祥事だった。会社がガラガラと崩れ落ちそうな中、人事担当として社内の人心を荒廃させないよう、目の前の仕事に追われていた。

 昭和56年の商法改正で総会屋対策として利益供与を行うことは禁止されたが、その後も続けられた。「旧態依然」としたものの一つで、本来は自分たちの手で変えるべきだったが、結果として(検察という)外の力に頼ることになった。

 なぜ自分たちの手で変えられなかったのか。内輪の論理が支配的になる構造があったからではないか。世間一般の感覚に置き直すとどうか、投資家の目線で見るとどうか。そうした観点が不足していたと思う。

 チェック機能を働かせるための態勢の整備は進んでいるが、実際に不法・不当行為に直面したときにどう行動するかは、究極的には一人一人の倫理観が大きな意味を持つ。社内での情報共有や人的ネットワークの構築が重要さを増している。(談)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ

    どう思う?

    「どう思う?」一覧