「急成長渡航先ランキング」大阪が2年連続で世界一、東京は6位 アジア勢が躍進

【経済裏読み】

 外国人旅行者の来訪(インバウンド)が増え続ける大阪。その伸び率が世界ナンバーワンであると、データで裏付けられた。クレジットカード運営の米マスターカードが9月末に発表した「2017年度世界渡航先ランキング」によると、渡航者数の成長率を比較する「急成長渡航先ランキング」で大阪が1位に輝いた。アジア勢が上位を占める中、東京や中国、韓国などの各都市を抑えての快挙だ。渡航者の人数は東京が9位、大阪は17位で、ともに前年から着実に順位を上げた。

 調査は世界の主要132都市を対象に、ビジネスや観光で訪れた1泊以上の渡航者数などを集計した。2011年から毎年公表され、調査項目は年を追って拡大されている。08年のリーマンショック後に世界の各都市・地域がどう成長しているかを示す指標としても注目される。

 大阪のインバウンド、7年間で4.5倍に

 急成長渡航先ランキングは、09年から16年にかけての渡航者の年平均増加率を示す数値だ。トップ10は次の各都市。

1位:大阪 24.0%

2位:成都(中国・四川省) 22.7%

3位:コロンボ(スリランカ) 20.3%

4位:アブダビ(アラブ首長国連邦) 18.9%

5位:ジャカルタ(インドネシア)18.2%

6位:東京 17.7%

7位:ハノイ(ベトナム) 16.4%

8位:リヤド(サウジアラビア) 15.9%

9位:リマ(ペルー) 15.2%

10位:台北(台湾) 14.5%

 大阪は、前々回調査(14年度、15年の予想値込み)では19.8%で4位、前回(15年度、16年の予想値込み)は24.2%で1位だった。09~16年の7年間を通算すると、インバウンドは4.5倍に増えた計算だ。東京は、前々回は14.6%で8位、前回は18.5%で5位だった。

 トップ10のうち7都市をアジア勢が占めた。ただ中国は、前回(15年)調査で成都、西安、廈門(アモイ)の3都市がトップ10入りしたが、今回は成都だけとなり、後退した格好だ。韓国で最も人気の高いソウルは12.8%で、トップ10の圏外にとどまった。

 渡航者数は東京9位、大阪17位

 一方、各都市への渡航者数のランキングは次の通り。トップ10にアジアから5都市がランクインした。

1位:バンコク(タイ) 1941万人

2位:ロンドン(イギリス) 1906万人

3位:パリ(フランス) 1545万人

4位:ドバイ(アラブ首長国連邦) 1487万人

5位:シンガポール 1311万人

6位:ニューヨーク(アメリカ) 1270万人

7位:ソウル(韓国) 1239万人

8位:クアラルンプール(マレーシア) 1128万人

9位:東京 1115万人

10位:イスタンブール(トルコ) 916万人

 大阪は698万人で、ローマ(イタリア)の709万人に次いで17位。実数では東京に及ばないものの、大阪市の人口(約271万人)を大きく上回る規模だ。

 東京は、2014年の19位、15年の11位から着実に上昇してトップ10入り。大阪も14年の37位、15年の25位から大きくジャンプアップした。

 また今回の調査は17年の渡航者数上昇率も予想しており、公表されたトップ20圏内では大阪(12.7%増)と東京(12.2%増)の2都市のみ、2桁の大きな伸びが見込まれている。

 アジアの中流階級で旅行ブーム

 大阪は、なぜインバウンドの増加率が世界一になったのか? 大阪府・市が一体となって運営している大阪観光局の溝端宏局長は、「外国人に満足してもらうため、Wi-fi(無線LAN)の提供、案内標識の設置、店舗の多言語対応などへの取り組みを、どのエリアよりも強化している。最近は、ナイトエンターテインメントの展開などで消費の時間軸を伸ばし、楽しむ選択肢を増やしている」と解説する。

 海外では、インターネットの旅行サイトやSNSを活用して大阪の魅力を効果的に拡散していることも寄与しているという。急成長ランキングで2年連続世界一とはいえ、溝端局長は「こんなレベルで満足していない。これから万国博覧会やIR(統合型リゾート)も誘致する。世界一の観光地になるべく、ハングリー精神をもって取り組んでいく」と意気込んでいる。

 調査結果によると、対象期間中の7年間で主要132都市の外国からの渡航者総数は総計55.2%増、渡航者による支出総額は41.1%増となり、世界の実質GDPの成長(通算21.8%増)を大幅に上回った。

 外国への渡航が盛り上がっている最大の理由は、新興国で中産階級が拡大し、旅行ブームが起こっているからだという。特に中国、韓国、東南アジア、インドなどで外国への旅行者が急増し、渡航先としてもアジア主要都市の人気が高まっている。

 調査を実施したマスターカードは近年の傾向を踏まえ、旅行ブームは今後も継続すると予想する。

 インバウンドの急伸は、交通混雑や宿泊施設の不足、現地文化との場札など課題をもたらす恐れがある一方、都市開発やビジネスに大きな投資を促す可能性もある。各国の政府や都市は、観光産業の潜在能力の活用を前向きに検討するべきだろう。

 マスターカードは、都市間の競争が激しくなる中で、渡航者層やニーズの変化に合わせて観光誘致を進化させていくことが大切だと指摘している。

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