「物言う株主」に東芝配慮 自社株買いで成長投資は…

 しかし、株主還元を厚くすると、その分だけ成長投資に回す原資は減る。現在、東芝は収益力の強化に向けた5年間の中期経営計画を練っており、東芝メモリの売却益を使って成長軌道に回帰することを目指している。

 ただ、成長を支える牽引(けんいん)役は不在の状態だ。会計問題発覚の27年以降、成長が見込まれた医療機器やスマートメーターからは次々撤退。さらに、営業利益の約9割を生み出してきたメモリー事業も売却したことで、新たな「稼ぎ頭」が見当たらない状況にある。

 車谷氏は今後の柱として、人工知能(AI)などを活用し、エネルギーやインフラ機器の納入後にも保守やサービスで継続的に稼ぐモデルを強化する考えを示す。ただ、競合も同様の取り組み強化を急ぐ中、継続的に投資を続けなければ競争力の維持は難しい。

 株主還元と成長投資のバランスにどう折り合いをつけながら、再成長に向けた道筋を描くのか。東芝は、なおも難しい課題を抱えたままだ。(今井裕治)

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