「大相続時代」投資資産の流出防げ! 証券各社あの手この手

 業界調査では、国内の個人投資家の4割近くは60歳以上で、4人に1人が65歳以上とみられる。株価上昇に伴い、個人投資家の保有する株式や投資信託の評価額は上昇しており、野村資本市場研究所は「現状では、65歳以上が家計金融資産の過半数を保有している」と推計する。

 業界関係者によると、こうした高齢投資家らは、退職金などの資産運用を野村のような対面型の証券会社に任せることが多かったが、運用資産を相続した親族らが、資産を投資に回さなくなったり、親族が口座を開設するネット証券へ移転したりする動きが増えた。投資家と親族が同居しておらず、相続時に資産が地方から都市部へ移転するケースが多いことも、顧客流出を後押しする。

 「顧客自身との連絡は密でも、ご親族との接点を作る機会が少なかった」

 セミナーを企画した野村証券信託銀行の石田充宏・保険事業部業務企画課長はうち明けた。野村はこれまでも顧客向けに相続などの相談に応じる「終活」サービスの充実を進めていたが、「親族も含めて当社に対する親しみをもってもらう必要が出てきた」(同部)と判断した。

 競合他社も顧客流出を防ぐべく、顧客の親族と“絆”を深める対応を急ぐ。

 大和証券は7月、高齢顧客が証券会社に運用を委託する「ファンドラップ」について、親族が口座を開設することを条件に生前贈与できる仕組みを導入した。SMBC日興証券は平成28年10月から、有名寺院で弁護士による生前贈与のセミナーなどを開催。これまで12回開催され、100人近くの参加者を集めている人気講座だ。

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