ゴーン退場(上) 窮地の日産に邸宅改築費要求のメール…経営者不適格の“証拠”

 しかし、日産と企業連合を組むフランスの自動車大手、ルノーの姿勢は違った。「推定無罪」の原則を掲げ、ゴーンの会長兼CEO(最高経営責任者)の解任を見送り続けたのだ。ルノーは日産株の約43%を保有する筆頭株主で、万が一、ゴーンがルノーで権力を行使できる立場に戻れば、日産の現経営陣の立場は一転、危うくなる。このままでは企業連合の運営体制を「ゴーン以後」に移行させることも難しかった。

 日産は不正に関する社内調査の内容を「直接説明したい」と提案したが、ルノー側は「弁護士を通してほしい」と拒否。ルノーのかたくなな態度は、日産の経営陣にとって思わぬ誤算だった。

 ■取材嫌いの西川社長が…

 だが今月11日、東京地検が会社法違反(特別背任)の罪でゴーンを追起訴。保釈請求も認められなかったことで、風向きは変わる。フランスに戻れなければ、ゴーンが経営の指揮を執ることは不可能だ。

 西川も、仏紙のインタビューに登場し、「日産の社内調査の情報が共有されれば、ルノーもわれわれと同じ結論(解任)に至るだろう」と強調。この時期、ゴーンがフランスの富裕税課税を逃れるため、オランダに税務上の居住地を移していたとの報道が流れていた。フランス国内での“解任論”の醸成に日産がどの程度関与していたかは不明だが、取材嫌いで知られる西川のインタビューは「本人の強い意向」(関係者)で実現し、「解任やむなし」の世論を後押しした。

 そして24日、ルノーは取締役会で新しい経営体制を決定。西川は同日、横浜市内で会見し、「アライアンス(企業連合)の新しいページを開く一歩だ」と歓迎の意を示した。

 ゴーン排除に権力闘争の側面があることは否定できず、西川は“情報戦”に勝ったといえる。だが、ルノーによるゴーン解任観測が強まった今月中旬、来日した仏政府の関係者は、ルノーと日産の経営統合案を日本政府関係者に伝えた。日産の経営陣が安堵(あんど)したのもつかの間、火種はくすぶっている。

          

 ルノーがゴーンを解任したことで、新しい段階に移る企業連合の行方を追った。=敬称・呼称略

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