ゴーン退場(下)仏政府の統合圧力、事件の引き金…日産は日本政府の支援期待

独立守り連携へ

 西川は24日の会見で、「日産は日本の企業だ。われわれは大きなサポートをいただいている。株主であろうがなかろうが、仏政府がルノーをサポートするのと同じように、そういう状況だ」と強調。いざというときには日本政府が仏政府の向こうを張って、日産を支援してくれることを期待した発言とも取れる。

 関係者が「会見は当然、ルノー側に伝わることを意識している」と打ち明けるように、ルノー、ひいては仏政府の出方を牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。

 「資本の論理」だけでいえば、日産に統合圧力をはね返す力はない。全ての株主が議決権を行使するわけではなく、ルノーの43%という保有比率は過半数とほぼ同義だからだ。本来なら、ルノーは日産の株主総会で全取締役を入れ替えることも不可能ではない。

 しかし、特殊な事情がある。仏政府による経営介入の動きに強く抵抗した日産は27年12月、独立性が守られる形にルノーとの協定を修正することに成功。その中には、「ルノーは日産の株主総会で、日産側が提案した人事案に反対しない」という重要な一項が含まれている。修正を主導したのは当時、統合圧力への防波堤の役割を果たしていたゴーンだ。

 ゴーンがルノー会長を辞任したことで、3社は運営体制や資本関係など、企業連合のあり方について本格的な協議を進められる段階に入った。日産は皮肉にも、ゴーンの残した協定を頼りに独立性を守りながら、自動運転などの次世代技術が急速に進む大変革期の荒波を乗り越えるべく、連携強化をはかっていくことになりそうだ。=敬称・呼称略

 

 この連載は高橋寛次、臼井慎太郎が担当しました。

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