海洋プラゴミ対策で連携加速 日本モデルのアピールなるか

 世界的な課題となっている海洋プラスチックごみ問題に対応しようと、プラスチック製品を手がける国内企業が連携して、問題解決を目指す国際団体への加盟や、国内での新組織設立が相次いでいる。この問題をめぐっては、外食・ホテルチェーンなどでストローや包装を紙に替える「脱プラスチック」が各国で拡大。解決に向けては企業や業界をまたいだ取り組みが欠かせない。欧州で規制が先行する中、日本の企業・団体には、環境技術やノウハウを“ジャパンモデル”として世界へ発信する狙いもある。(田村慶子)

■欧州の規制強化に対応

 東洋紡は19日、プラスチックフィルムなど軟包装分野の循環型経済を推進する欧州のコンソーシアム(共同事業体)「CEFLEX(シーフレックス)」に参加したと発表した。楢原誠慈社長は大阪市内で開いた記者会見で、「プラスチックフィルムを作る企業として、世界的な課題解決に貢献できる」と意気込んだ。

 2017年に設立されたシーフレックスは、25年までに欧州全域で、使用済み軟包装を回収・分別してリサイクル(再生利用)するインフラの構築を目指す。

 欧州連合(EU)欧州議会は3月、使い捨てプラスチック製品を禁止する法案を可決。21年までに施行される。同法では、EU加盟国が29年までにプラスチック製ビン類の回収率を90%以上に引き上げることなどが盛り込まれており、世界に先駆けて規制強化が急速に進む見通しだ。

 シーフレックスには世界の大手素材メーカーなど130以上の企業・団体が参加。東洋紡は「情報を収集して対応しないと(欧州から)締め出しを食いかねない」と危機感をのぞかせる。今後構築される回収システムの詳細や、世界の規制動向を把握する狙いもあるという。

 日系企業ではほかに凸版印刷、三井物産、東レやクラレの欧州子会社など10社以上が名を連ねている。

■日本の技術アピール

 国内でも海洋ごみ問題の解決に向けた動きは急だ。

 昨年9月、日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、石油化学工業協会、塩ビ工業・環境協会の化学業界5団体が「海洋プラスチック問題対応協議会」を発足。焼却時の熱を利用する「サーマルリサイクル(熱回収)」の有用性を評価する科学的知見の蓄積や、使用済みプラスチックの河川への放出などで課題の多いアジア新興国での啓発活動を進めている。

 化学業界が率先して取り組むことで「プラスチック=環境に悪影響」との印象を拭い、日本の回収システムやリサイクル技術の強みを世界にアピールする狙いもあるようだ。

 一方、三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学の国内化学大手3社は、1月に立ち上げられた国際的な連携組織「廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス(AEPW)」の創設メンバーとして参画した。

■政府も本腰

 日本政府の取り組みも本格化している。プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進する「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」を今年初めに設立。8月9日時点で250社・団体が加盟している。

 6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では、海洋プラごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意された。

 ただ、同ビジョンには「米国や中国に配慮し、目標が低く設定された」などの批判もある。G20サミットの議長国を務めた日本は今後、ビジョンの具体的推進へ、官民でより強力な取り組みが求められている。

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