LINEと組んだ野村HD 顧客拡大の期待も見えぬ戦略

 20日に営業を開始したLINE(ライン)証券はスマートフォンに特化して株式を売買できる「スマホ証券」と位置づけられるサービスだ。スマホならではの手軽さが若者や働き盛りの世代に人気で、対面営業を重視してきた野村ホールディングス(HD)などの大手もこの流れに乗り始めた。ただ、すでにサービスは乱立しており、大手の戦略が問われる。

 野村HDがLINEと組んだ最大の狙いは、幅広い利用者層だ。野村証券の口座数の533万口座(3月末)に対し、LINEは毎日7千万人が利用する。これまでアプローチできなかった客層の中から、将来的に本格的な資産運用の世界へと進む個人投資家が出てくることを期待する。

 大手では大和証券グループ本社も来春のスマホ証券の開業を目指す。中田誠司社長は「伝統的な証券ビジネスとはリスク特性が異なるビジネスのピースを育てたい」と語る。

 一方、SMBC日興証券は従来型のオンライン取引のサービス拡充に力を入れる。2月に独自のオンライン媒体「フロッギー」の記事から、関連銘柄を取引できる機能を追加したところ、1ページ当たりの閲覧数は約3倍に増えた。

 大手には対面サービスの限界という共通課題がある。ライフスタイルの変化や高齢化を背景に店舗の来客数は大きく減少。一方、ITの進展によってインターネット専業証券やスマホ証券の勢いは増している。

 それだけにスマホ証券サービスの競争は激しい。平成28年にはワンタップバイが日本初のスマホ証券としてサービスを開始。今年4月にはSBIネオモバイル証券がポイントプログラム「Tポイント」で株式を買えるサービスを始めた。

 店舗再編や人員の再配置などの構造改革に取り組む野村HDはLINE証券について「1800兆円に上る個人金融資産が貯蓄から資産形成へと流れるムーブメントを起こせるのではないか」(池田肇執行役員)と話す。ただ、LINE証券から野村への送客など具体的な構想は明らかにしておらず、今後の戦略は見えないままだ。(米沢文)

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