大手生保の不動産投資が拡大 「バブル以来」の背景

 大手生命保険会社の不動産投資が拡大している。平成30年度の各社保有の不動産は4年ぶりに増加に転じた。低金利による運用難が続く中、利回りの確保や分散投資を図るのが目的だ。一部生保では不動産の投資期間の長さに着目し、運用の大部分を占める国債の代替役として期待する向きもある。

 生命保険協会が発表した「生命保険事業概況」によると、各社保有の土地や建物など不動産の合算は30年度末で6兆0442億円。前年度比0・8%増で26年度以来の増加となった。日本生命保険は4月の運用計画の説明会で令和2年度末までに海外不動産などに2千億円を新規投資する方針を示し、第一生命保険も東京・虎ノ門地区の再開発案件に投資するとしている。

 背景にあるのは長引く低金利。生保は保険金支払いに備え、保険の契約の長さに見合う長期の国債を大量に買い入れる。契約時に顧客に約束した予定利率を維持する負担を軽減させ、保険金を確実に支払う狙いだ。だが円金利が極端に低下したため、保険金の支払い分を国債の利回りでは相殺できないのが現状だ。

 利回りを重視し、債務不履行リスクのある社債を活用する手もあるが、数十年にも及ぶ契約に対応した社債、とりわけ円建て社債は数が少ない。その中で注目を集めているのが不動産投資。不動産の投資期間は極めて長く、利回りも国債に比べて高いためだ。

 金融庁は7年をめどに、保有契約の評価(負債)を簿価から時価に変える新規制の導入を検討。導入された場合、金利が下がると過去の契約の価値が上がり、生保の抱える負債が大きくなる。こうしたリスクに対応するためには自己資本を積み増すか、あるいは契約の長さに応じた資産を買い入れる必要がある。投資期間が長く、利回りも良い不動産を買い入れるニーズはより高まる見込みだ。

 ただ不動産は価格変動が大きい。流動性も低く、すぐに現金化することが難しい。「生保がここまで不動産に注目するのはバブル以来」(大手生保関係者)というように、そもそも生保各社はバブル崩壊以降、不動産投資を段階的に減らしてきた経緯がある。高値づかみの恐れもあり、各社の目利き力が問われそうだ。(林修太郎)

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