これこそ日本人の表現方法! 規制だらけの大イベントを盛り上げる秘策

売れないモノを売る極意

 9月に入り「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が迫ってきました。日本では初の開催で、試合会場が地方を中心に国内12カ所に散らばっていることを考えると、特に開催地は盛り上がりそうです。ラグビーW杯2019組織委員会も、経済波及効果を4300億円と試算しています。

 ただその割には、まだあまり活気が感じられません。不思議に思って開催地に聞いてみたところ「当初は大きくPRして盛り上げたかったけど、壁にぶつかってねぇ」と煮え切らない答えが返ってきました。壁とは、スポンサーでない限り「ラグビーW杯2019を応援します」などと安易に大会名称を使えないワールドワイドな掟のこと。よって、わかりやすい看板やPRグッズが製作できず、どう盛り上げたらいいのかわからない、というのが実情のようです。

 ましてや知的財産の厳守は地方自治体の重要なミッション。盛り上げるよりも、監視の方に意識が向いてしまいます。会場のひとつ「花園ラグビー場」を有する大阪府東大阪市の公式サイトにも「ラグビーW杯2019に関連する商標、名称、用語、その他の表示は、ラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)が保有する知的財産であり(中略) 開催都市マークや『ラグビーワールドカップ2019』等の大会関連テキストの使用は禁止されています!」と最後に「!」まで入れる念の入れようです。

 無理もありません。グローバルイベントの知的財産権については今年2月、来年の東京五輪を巡って厳しさを増し、「オリンピック」のワードやエンブレムに加え、日本語の「五輪」も国際オリンピック委員会(IOC)が特許庁に商標登録したため使えなくなりました。さらに日本広告審査機構は「NGの恐れのあるオリンピック広告の表現例」として「2020円キャンペーン」「東京で未来の夢を実現」「2020年にはばたく子供たちを応援」等も例に挙げています。もうお手上げです。

 ただ今回はラグビー史上初めて日本で開催されるW杯ですから、日本人としては、なんとか盛り上げたいもの。そこで解決できるヒントはないか、探ってみました。

 すると、室町時代から長い歴史を誇る華道家元池坊が、若い華道男子の作品展「夏の男花展2019」でラグビーW杯を表現する作品を披露するというではありませんか。さっそく見に行くと、そこには厳しい規制など微塵も感じられない、ラグビーW杯を歓迎する美しい花の世界が広がっていました。

 そうです! これこそ日本人の表現方法です。花はもちろん、和歌や俳句、漢字一文字などさまざまな日本文化に気持ちを託して盛り上げればいいのです。経済波及効果からはちょっと遠ざかるかもしれませんが、スポーツはもともとプライスレスなもの。ここはココロで楽しみましょう。

 ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ