リニア工事 県境の水流出問題でJRが工法再検討方針

 リニア中央新幹線の建設工事に伴う大井川の流量減少問題など環境への影響を検証する連絡会議が12日、静岡県庁で開かれ、県や利水者団体が懸念する県境付近から山梨、長野両県への湧水流出について、JR東海は専門家委員のアドバイスを受けながら県境付近での工法を再検討する方針を示した。

 県や利水者団体は、大井川の流量減少対策としてトンネル湧水の全量を大井川に戻すよう求めている。一方でJR側は工事中の一定期間に県境付近の湧水が山梨、長野両県に流出することは避けられないとしている。両者の見解の相違は静岡工区が着工できない原因になっており、沿線他県から早期の決着を求める声が上がっている。

 この日の会議では県側が望む「全量戻し」の具体的な手法や中下流域の地下水への影響などが論点になった。JR東海は、イメージ図を使って湧水を大井川に戻す具体的な方法を説明し、先進坑貫通までは山梨県側へ毎秒最大150リットル、長野県側に同7リットル流出すると予測。対策として「引き続き検討を行い、県や利水者団体と意見を交換する」と明記したのみで、「全量戻し」を確約しなかった。

 これに対し、難波喬司副知事は「湧水の全量を大井川に戻せないのであれば、こういう工法で検討するわけにはいかない。県としては全く受け入れられない」と語気を強めて再考を求めた。専門家委員からも「流出する期間と総量を明記してほしい」などの要望が出された。

 これらの意見や要望を受けて、会議終了後に取材に応じたJR東海の新美憲一執行役員は「会議の中で工法の比較や評価を示した方がいいとアドバイスをいただいたので、そういった部分も議論していきたい。全量を戻すことを前提に科学的、工学的に検討する」と述べ、県側が強く主張する「全量戻し」を前提に工法を再検討する方針を示した。

 この日の会議には、国土交通省から技術審議官ら職員2人が派遣され、議論を見守った。連絡会議は13日も開かれる。

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