リニア中央新幹線の整備、各地で進む 完成後は安全保障で貢献へ

【経済インサイド】 

 JR東海のリニア中央新幹線の整備が各地で進んでいる。運行区間の約9割でトンネル内を走行するのが特徴だ。完成すれば、東京、名古屋、大阪の三大都市圏をつなぐ重要な輸送網となるが、実は日本の安全保障面で効果を発揮するとして期待されている。

 リニア中央新幹線は、最高時速505キロを実現するため、走行区間はカーブが極めて少ない。直線に近い形でルートを引くことで、東京-名古屋間の距離を東海道新幹線より約50キロ短縮した。このうち、86%に当たる247キロの区間でトンネル内を走行する。深さ40メートルの地中においては、地権者への事前の補償なしに事業者が使用権を設定できる「大深度地下」の認可を受ける。地下に設置される駅までの深さはおよそ20~50メートル。つまり、大都市間の地下を直線で結ぶ移動路と避難施設を備えた、巨大な施設となるわけだ。

 このリニア中央新幹線の特長について、「抗堪性(こうたんせい)が強い」(関係者)と期待されている。抗堪性とは、軍事攻撃に耐えて防護し機能を維持する能力のこと。自衛隊や警察の部隊がトンネル内を移動しても、敵国の偵察機や人工衛星などから発見される可能性が低いため、安保上の利点があると考えられている。

 海外で鉄道網に抗堪性を持たせた事例の一つに、旧ソ連がモスクワに整備した地下鉄がある。核シェルターの代わりとして、「西側」の地下鉄よりはるかに深く掘られているという。旧ソ連の構成国だった中央アジアのウズベキスタンの首都タシケントにある地下鉄も、同様の機能を持たせるために整備された、との説もある。

 ウズベキスタン政府は、旧ソ連崩壊後も地下鉄での写真撮影を禁じていた。一説には「軍事関連施設」との扱いだったとされており、撮影が解禁されたのは2018年になってからだ。

 記者は当時、この地下鉄を利用したことがある。ウズベク政府の許可を得て写真を撮影することもできた。プラットホームの天井や壁などの巨大な美術品が飾られた荘厳な造りだった。

 もっとも、この地下鉄の深度は、大深度地下を掘削する箇所のあるリニア中央新幹線と比べて浅いとみられる。核シェルターとしての役割を本当に持たせていたかどうかは定かではない、との見方もある。

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