売れない原因の大半は商品よりも「伝え方」にある 時代を変える大河ドラマ「麒麟がくる」に学ぶ

 【売れないモノを売る極意】

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」が始まりました。壮大な歴史絵巻が戻ってきたとあって、昨年の「いだてん」で地に堕ちた平均視聴率は、第1回放送でいきなり19・1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)に跳ね上がりました。「大河らしさ」を求めていた人が多いことがわかります。

 しかし今年の大河は以前と同じではありません。何より、国民的ヒーローであるはずの主人公が、裏切り者の悪名高い明智光秀で、しかも爽やかな印象で人気の長谷川博己さんが演じています。これは「明智光秀=悪者」のイメージを丸ごと覆す設定に他なりません。また地味だった戦国時代の衣装がパステルカラーに変わっていることも見逃せません。映像の4K8K時代にあわせた演出だそうですが、戦国時代のイメージが一新しそうです。

 これだけでも「変わったのかな」と分かりますが、そもそも今年は時代がリアルに変わる大変革の年。春に始まる5G商用サービスで現金よりもデジタルマネーを使うようになり、民法も約120年ぶりに抜本的に改正されて、日本人の常識そのものが変わるかもしれません。私のような昭和生まれは、頭の中を一新しないと付いていけなくなりそうです。

 ただ視点を変えれば「常識が変わる=売れないモノがヒット商品に変わるかも」といった可能性が見えてきます。そこで歴史の常識を変えそうな「麒麟がくる」をお手本に、売れないモノを売る方法を考えてみました。事例には、スマホの影響で売れなくなった家庭の固定電話を選びました。

 まずは裏切り者だった光秀を大人気の長谷川さんが演じていることに準じ、固定電話を人気のスマートスピーカーに見立ててみました。すると、あら不思議! まだよくわからないAIの代わりに血の通った人間と話せることが、少し魅力的に見えてきます。

 続いて固定電話の色を4K8K時代に適したパステルカラーに変えてみました。すると、リビングに映えるオシャレなインテリアに見えてきます。さらに「麒麟がくる」に準(なぞら)えて、キャッチフレーズをつくってみました。AIのようにワガママを聞いてくれるのは家族ですから「家族がくる」が良さそうです。

 すると…なんということでしょう! 固定電話のイメージが一新して、故郷の家族と繋がるスマートスピーカーに見えてきました。そういえば、使わなくなった固定電話とマンションの電話回線を生かして、古いマンションに格安でオートロック機能をつけ、ヒットした実例もありました。

 つまり固定電話を「電話」として見るから「スマホの方が便利」と思い込んでいたのです。いろんな常識が変わる今年は、そんな思い込みを一新するチャンスかもしれません。

 「良い商品なのに売れない」。そんな悩みに少しでもお役に立てばと、このコラムを書いてきました。

 最もお伝えしたかったのは、売れない原因の大半は、商品よりも伝え方にあるということ。今年の大変革を機に伝え方も一新してみてください。あなたにも“麒麟がくる”はずですから。=おわり

 ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。

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