【メガバンク再考】デジタル提携加速、薄れゆく存在感

 「銀行はいずれ金融取引のインフラだけを提供する、『土管』のような存在になり果てかねない」。みずほ銀行のあるOBは、NTTドコモの「ドコモ口座」で表面化した決済サービスの悪用問題を振り返り、危機感を募らせる。

 多くの被害者は、ドコモ口座を使ったこともなかった。連携する35行のうち不正被害にあったほとんどの銀行は、預金者へのなりすましを防ぐ「2段階承認」などの安全対策を導入していない地方銀行だった。

 一方、みずほ銀行は対策をとっており、ドコモ口座の被害はなかったようだ。だが、疑いのまなざしが強まる中で9月16日、過去1年以上前に複数の電子決済サービスを使った不正な預金引き出しがあったと遡(さかのぼ)って発表した。

 かつて銀行は「信用」の代名詞だった。銀行マンといえば「固くて真面目」なイメージの象徴だった。それが、金融犯罪の片棒をかつぐ立場におとしめられた。前述のOBの嘆きには、かつての権威や評価への自負も込められている。

 3行が統合し、みずほグループが発足したのを機に、3メガバンク体制が確立されたこの20年で、銀行をめぐる環境は激変した。

 人口減少と長引く低金利は銀行本業の収益力を奪った。新型コロナウイルス感染症の拡大は、店舗や人を介さない非対面の金融取引を加速させた。

 金融のデジタル化が不可避となる中、銀行は自前主義から脱却し、最新のIT(情報技術)を持った異業種企業との協業を競う群雄割拠の時代に突入した。

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