福岡-韓国・釜山航路のJR九州クイーンビートルお披露目 コロナで航路再開見通せず国内観光で暫定利用

 JR九州高速船(福岡市)が、福岡-韓国・釜山航路に導入する新型高速船「クイーンビートル」の完成披露式典が24日、福岡市博多区の博多港で開かれた。式典前には報道関係者向けの内覧・試乗会があり、移動手段としての「高速船」から、船旅を満喫する「客船」へとコンセプトを一新した船内がお披露目された。ただ、新型コロナウイルスの影響で日韓航路再開の見通しは立っていない。当面は博多湾周遊や宗像・沖ノ島の遊覧など国内観光用の暫定的な運航にとどまり、厳しい船出となる。(小沢慶太)

 クイーンビートルは、日韓の往来増加を見込み、格安航空会社(LCC)に対抗しようと平成30年に発注。オーストラリアで建造され、先月、博多港に到着した。

 目を引くのは真っ赤な船体と、その大きさだ。全長は83・5メートルで、これまで日韓航路を結んできた高速船「ビートル」の約3倍、総トン数は2582トンで10倍近くに及ぶ。高速航行でも揺れが小さい「三胴船」(トリマラン)と呼ばれる船型で、80メートル級のものは世界初だという。

 船内は、単なる移動手段ではなく、乗客に快適な空間を提供する客船としての機能にこだわった。デザインは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」なども手掛けた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が担当した。

 定員は502人で、1階のスタンダードクラス席に加え、2階には広々としたビジネスクラス席を設けた。売店では、ななつ星にも料理を提供している大分の日本料理店「方寸」が監修したメニューが味わえる。免税店やキッズルーム、屋外デッキなども備え、船内の散策も楽しめる。

 水戸岡氏は「オンリーワンの船を造ることがテーマ。豊かな旅客船の旅を提供することができると思う」と話す。

 試乗会では博多湾内を約1時間かけて航行。速度は時速約28キロと通常(時速約68キロ)と比べて遅かったが、船上からの眺望や心地よい海風を体感することができた。

 クイーンビートルは当初、1日2往復(繁忙期を除く)のうち、1往復をビートルに置き換わる形で、今年7月に就航予定だった。しかし、新型コロナの感染拡大で3月以降、日韓航路が運休。現在も再開のめどは立っていない。

 JR九州高速船は「観光需要が中心なので、観光での往来ができるようにならなければ再開は難しい」とする。

 このため、次善策として年末年始から博多港発着で博多湾周遊や糸島沖、沖ノ島などを遊覧する4つの観光コースを用意し、チャーター利用を始める予定。本来は外国船籍のため、船舶法で国内航路への転用が規制されているが、国土交通省が特例措置を認め、暫定的な運航が可能となった。

 JR九州の青柳俊彦社長は式典で「コロナさえなければという思いもあるが、航路再開の条件が整えば、すぐに運航を始めたい」と述べた。

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