予告編から生まれた「高崎グラフィティ。」近くて遠い東京と青春の焦燥

【映画深層】

 撮影に入る前は、「いいものを作らなきゃ」というプレッシャーを強く感じていた。8月18日に群馬県高崎市で先行公開の「高崎グラフィティ。」は、第1回未完成映画予告編大賞でグランプリを受賞し、制作費3000万円を獲得してできた作品だ。「自分でお金を集めて自由にやるのとは違いますからね。でもキャストの顔合わせで、自分が選んだメーンの5人と再会して、そうだよな、自分が楽しまなきゃなって気づいたんです」と、初の長編に挑んだ川島直人監督(27)は打ち明ける。

5人の若者の空気感

 「高崎グラフィティ。」が醸し出す空気感からは、確かに監督自身が楽しんで撮っている雰囲気が伝わってくる。

 高崎市の高校を卒業後、上京して専門学校に進む予定だった美紀(佐藤玲(りょう))は、父親(渋川清彦)が入学金を持ったまま姿を消したことを知って呆然(ぼうぜん)とする。クラスメートの優斗(萩原利久(りく))、寛子(岡野真也(まや))、直樹(中島広稀(ひろき))、康太(三河悠冴(ゆうご))とともに父親の行方を捜すが、ほかの4人もさまざまな事情を抱えていた。

 卒業式からの2日間の群像劇だが、5人それぞれの悩みや思いが、東京に近いようでいてすぐには行けない高崎という街の微妙な距離感を伴って描かれる。

 「あの年頃ならではの空気感を出したかったが、いかにもの青春っぽさを見せるのは嫌だった。例えば、何も考えずにみんなでバーベキューをやる、なんてしたくない」

 そこで、まず5人に仲良くなってもらおうと、一緒に食事に出かけたり、卓球やビリヤードに興じたりした。「その成果が映画に出ているとはすごく感じますね」と川島監督は満足そうに語る。

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