富野由悠季総監督「宇宙にガンプラを放出するだけなんてナメてもらっちゃ困る」

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は15日、東大、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力し、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のガンダムと“シャアザク”が宇宙空間から大会を応援する企画「Gサテライト・宇宙へ」を行うと発表した。

 来年春に、国際宇宙ステーション(ISS)からガンダムとザクの模型を乗せた超小型宇宙ステーション「Gサテライト」を放出。宇宙空間でコックピットが展開、模型が外部に露出される。模型はLEDで目の部分が五輪カラーの5色に光るほか、足元に置かれた電光掲示板には大会を応援するメッセージが表示される。映像は衛星に搭載されたカメラで撮影され、地表に送信される。

 昨年2月に打ち上げられた「たすき」をベースとする超小型衛星は10センチ×10センチ×30センチのサイズ。模型のほか、カメラ7台と太陽光発電装置、バッテリーが搭載される。開発を主導する東大大学院工学系研究科・航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授は「宇宙で真空状態や放射線、紫外線、高熱から低温、打ち上げ時の加速度や振動に耐えられる模型の素材や塗料の研究が必要」と説明した。

 同研究科関係者によると、人形が宇宙空間に曝露されるのは日本の宇宙開発では史上初。世界的にも「おそらくないのではないか」という。

 模型製作を担当するバンダイ・ホビー事業部開発設計チームの山中信弘アシスタントマネジャーは、昨年末に話を受けて「ガンダムは宇宙にいるもの。その夢の実現にトライさせてもらえ、ワクワクした」。現在、東大で試作品が過酷な環境に耐えられるかの試験中だという。サイズは代表的な144分の1では少し大きいため、過去に発売されたスケールの中で衛星の内部に収まるものになるという。素材は条件合うハイテンプやピークといった樹脂を使用。金属の方がより丈夫にできるが、「“ガンプラ”として樹脂にこだわりたい」と山中氏。完全一品もので、価格にすれば数百万円になるが、一般販売の予定はないという。

 メッセージを表示する電光掲示板は日本語、英語のほか絵も表示でき、金メダルの絵なども地上からの操作で描かれる。基本的に日本選手の応援になるが、世界記録が出た際などは外国選手でもたたえることになる。

 発表会場ではアムロ・レイ役の古谷徹さん、シャア・アズナブル役の池田秀一さんがアナウンスする映像も流され、雰囲気を盛り上げた。ガンダムの生みの親、富野由悠季総監督も出席。

 「宇宙にガンプラを放出するだけなんてナメてもらっちゃ困る。(子供たちには)なぜかを考えほしい。東京2020という大きな大会があり、JAXAという組織があるから実現できた。50年前には『宇宙開発』という言葉も『何それ』といわれたが、想像を絵空事にしない事実を積み上げてきた。それは人類が培ってきたマイルストーン(里程標)。そういうものがあるから、いろんなものを具体的に考えることができるようになった。だから(若い世代には)50年後、100年後、200年後に、もっと大きな夢を咲かせていただけたらと思う」

 そう“富野節”で意義を訴えた。

 今年秋には中須賀研からJAXAに完成した超小型衛星を引き渡し、12月には衛星やガンダム、シャアザクの機能や宇宙空間からの応援についての詳細を発表。来年3月に超小型衛星を補給船に積んでISSに向けて打ち上げ、同月から4月にかけて、宇宙空間に衛星が放出される。

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