吉本興業、上場廃止が「大崎一強」招く結果に… それでも“反社”排除できず

 吉本興業が、反社会的勢力との絶縁に苦慮している。闇営業問題は、今も所属芸人との関係が続いていることを浮かび上がらせた。大崎洋会長(65)が社長就任直後に切り札として実施したのが株式の非公開化だったが、約10年を経て「大崎一強」の権力集中を招く結果にもなった。これが今回の芸人離反の一因になったとの見方もある。

 「吉本は株式上場していたときから反社会的勢力の排除には、相当頭を悩ませてきた。経営陣や会社が株主代表訴訟や特別背任などのリスクにさらされる懸念があった」

 ジャーナリストの須田慎一郎氏はこう語る。

 大崎氏は、吉本で反社会的勢力の戦いとの最前線に立ってきた存在といえる。

 大崎氏が副社長だった2007年、吉本は「内紛」に揺れていた。大崎氏が創業家に復権を強く迫られたとする記事が週刊誌に報じられ、その直後には、創業家サイドの反論手記が別の週刊誌に掲載された。手記には、ベテラン芸人が反社会勢力との関係を背景に会社に影響力を及ぼしているとの主張も盛り込まれていた。

 吉本は全面否定したが、09年に社長に就任した大崎氏は、上場廃止へと踏み出す。元ソニー会長の出井伸之氏(81)が代表で、テレビ局や広告代理店などが出資する投資会社による株式公開買い付け(TOB)を実施した。事実上の経営陣による買収(MBO)で、吉本株は10年に上場廃止となった。

 宮迫博之(49)と田村亮(47)の記者会見で、岡本昭彦社長(52)の発言として伝えた「民放テレビ局が吉本の株主」というのもここに原点がある。

 上場廃止の理由は、経営判断の迅速化だったが、「非上場になり、民放各局などに株を持ってもらうことで、資本面で反社会的勢力の介入を防ぐセーフティーネットとなった」(須田氏)。直後の11年には、同社所属の人気芸人だった島田紳助さん(63)が暴力団関係者との交際を理由に引退。須田氏は「当時、上場していたら、もっと大きな打撃になっただろう」と振り返る

 ところが、反社対策の有効打だった上場廃止には、思わぬ副作用があった。「資本のチェックがゆるくなり、創業家の影響力も小さくなることで、大崎氏ら経営陣に権力が集中する結果になった」(須田氏)ことだ。

 今回の問題で、経営陣に反旗をひるがえした加藤浩次(50)らは、大崎氏と岡本氏ら経営陣の独善性を批判している。反社との関係は切れず、所属芸人の離反も招いた吉本興業は岐路に立たされている。

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