京アニ躍進を牽引した武本康弘さん「輝く瞬間を逃さず撮る」 本紙取材に描写へのこだわり披露

 京都アニメーションの放火殺人事件で犠牲となった取締役の武本康弘さん(47)。美しい作画と繊細な心理描写を特徴とする「京アニらしさ」を兼ね備えた監督として知られる。高い技術と熱意で、世界中のアニメファンを引きつけた。《作ってきた作品が全て》。妻の言葉がその生き方を物語った。

 「作品に出るキャラクターたちは息をして、物を食べ、生きている」。平成27年、水泳をテーマにした映画「ハイ☆スピード -Free! Starting Days-」の公開前に取材に応じた武本さん。日常生活など描写へのこだわりを示しながら「僕はその生活の中にカメラを入れ、撮影するイメージで作品を作っています」と語った。

 大阪市内のアニメ専門学校を卒業し、京アニでアニメーターに。その後、作画やレイアウトなど、アニメ制作現場の責任者である「監督」となった。

 高校生たちのSF的冒険と学園の日常生活を描いた「涼宮ハルヒの憂鬱」など、2000年代の“京アニブーム”を支えた。監督作品には「聖地巡礼」ブームのきっかけとなった学園アニメ「らき☆すた」(5話以降)をはじめ、アニメ史に残る作品が並ぶ。

 一目で京アニが制作したと分かる、美しい作画の立役者の一人でもあった。「ハイ☆スピード」では、アニメで描くことが極めて難しい水の動きを見事に描写。また実際の競技中継などでは見られない「泳者目線のアングル」など、アニメだからこそできる表現方法にもこだわった。「京アニならこれぐらい当然」という予想をやすやすと上回る技術力やこだわりが、世界のアニメファンの心を奪った。

 「うち(京アニ)は特別なことをしているとは思っていません」。制作についてこう語った武本さん。「(今後も)キャラクターが輝く『瞬間』を逃さず、撮り続けたいと思います」と静かに口にしていた。

 武本さんの妻は2日、報道各社にこうしたコメントを出した。《今まで作ってきた作品が全て。それを見ていただいたファンの方が評価していただいていることが全てです》

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