指先が彼女のヒップに触れてしまうも… 気さくでおおらかな人柄に好感

【番記者は見た 松坂慶子・艶と愛の日々】

 売り出し中の美人女優のヒップを触った…。まだ、セックスハラスメントという言葉はなかったが、事実なら一大事だ。

 珍事は1973年9月、都内のホテルで開かれたTBSの「江戸を斬る」の制作発表のパーティーで起きた。松坂慶子は遠山金四郎を助ける「隠し目付け」だが、普段は魚政の看板娘で密命を受けると男装の紫頭巾に変装する。

 会見後、松坂は白の花模様をあしらったシルクの訪問着でパーティー会場を回りだした。記者と談笑しながら、松坂は彼らから役作りなどの質問に笑顔で応じる。

 彼女がそばに来ると、私は「江戸時代は和服のとき、ノーパンだったそうですが、松坂さんは?」と意地悪してみた。松坂はふっくらとした和服のヒップラインが際立っていたのだ。

 「ウフフ、そんな…。ご想像にお任せします」と笑って答えて向きを変えた。その瞬間、私は誰かに背中を押されて前のめりとなり、指先が彼女のヒップに触れたのである。私は慌てて「わっ、失礼!」とわびたが、彼女は「クスクス…」と笑うだけで次のテーブルに移った。ところが目撃していた記者がいて「見~ちゃった」と冷やかす。彼も松坂ファンだ。

 私は「偶然の事故」を強調したが、相手は「どちらでもいいけど、うらやましいかぎり」と繰り返す。私は弁明はやめて「彼女は私に限って無礼講なんだ」と居直った。

 そんな他愛のないいきさつを、次に松坂と会ったときに話すと「あら、みなさんに注目されて光栄、うれしいわ」と軽く受け流された。気さくでおおらかな女優。ますます彼女に好感を持った。

 男優も女優も売れっ子になって黄金期を迎えると、必ずと言っていいほど大恋愛に陥るもの。松坂も例に漏れず、人気を不動にした「江戸を斬る」あたりから、恋のとりこになっていく。

 74年秋にTBS「阿蘇の女」で共演した小坂一也が松坂にひと目ぼれした。17歳年上の小坂はウエスタン歌手出身の俳優で名うてのプレーボーイ。しかも小坂には15年間も夫婦同然に暮らす十朱幸代がいたからいわば「不倫」である。

 松坂は最初、取材陣に対し10歳年上の十朱のことを「私が目標とする憧れの女優さん。彼女のようになりたい」ととぼけて、けむに巻いていたが…。(フリーライター・中野信行)

 ■松坂慶子(まつざか・けいこ) 女優。1952年7月20日生まれ、67歳。東京都出身。児童合唱団や劇団ひまわりを経て、67年にデビュー。

 71年の映画「夜の診察室」で初主演。73年にNHK大河ドラマ「国盗り物語」で濃姫を演じて人気沸騰。75年からのTBS「江戸を斬る」シリーズで男装の紫頭巾が好評。79年にTBS「水中花」に主演し主題歌「愛の水中歌」も大ヒット。

 80年代には数々の映画で賞を獲得。90年にギタリストの高内春彦氏と結婚、2女をもうけた。

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