「じじい、気色悪いわ!」三女からの家庭内暴力20年超…老夫婦襲った悲劇

【衝撃事件の核心】

 発症率は100人に1人-。自分には関係ないとみるか、ひとごとではないと捉えるかは人それぞれだが、一つ確かなのは、決して珍しい病気ではないということだ。被害妄想や幻聴などに襲われる統合失調症をめぐり、患者だった40代の三女を絞殺したとして、殺人罪に問われた老夫婦の公判が3月、大阪地裁で開かれた。深夜の大声、隣近所への迷惑行為…。20年以上にわたる家庭内暴力に困り果て、行政にも医療機関にも相談したが、三女を受け入れる場所は結局、家庭しかなかった。「もう私たちの手では、どうにも解決できんかった」。80代の父親は法廷で、救いの手はどこにもなかったと訴えた。裁判員の結論は執行猶予付きの〝温情判決〟だった。

「ごめんね。母さんを許して」

 「引っ越しは嫌や!」

 昨年7月12日夜。大阪市平野区の自宅で、三女が甲高い声で駄々をこねた。

 賃貸住宅の管理会社からは月末に退去するよう迫られていた。父親と70代の母親は老身にむち打ち、三女が夜中に大声を出しても近所迷惑にならない物件をようやく探し当てたところだった。

 「これ以上ええとこないんやから」

 母親はそう言って三女をなだめた。

 「お母さんを困らして。他に行く場所ないんやで」

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